短 編

□眠るきみに秘密の愛を
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ったくこの馬鹿は…

昼休みになっても現れないアイツが気になって隠して仕込んだGPSで居場所を探す

付き合ってるわけじゃねぇ…今は、な

GPSをたどって着いたのは屋上


「こんなとこで寝やがって」


気持ち良さそうに昼寝してやがる

こんな無防備に寝やがって


「襲われたら、どうすんだよ…」


不良しかいねぇ学校のはずなのに何でこんな女が入ってきたのか未だに頭を悩ませる


「起きねぇと襲うぞコラ」


柔らかい髪を撫でてやれば気持ちよさそうに声を漏らす

猫かこいつは…

隣に腰をおろしてもう1度撫でてみる

こんなとこ他の野郎に見られたらたまんねぇな


「ん、…姫ちゃん、せんぱい?」


呂律回ってねぇ

つかその呼び方やめろっつったろ


「やっと起きたか馬鹿が」

「眠い…まだ寝る………」


そう言ってまた寝やがった


「てめぇ!」

「……」


俺のアロハの裾を握って

動けねぇじゃねぇか


「しかたねぇ…」


幸いそんなに強く握られてたわけじゃねぇし


「後で覚えとけよ…馬鹿雪姫」


軽い体を抱き上げて屋上を後にする

向かうのはいつもの場所

ソファの端に下ろして自分はその隣に座る
雪姫の頭を俺の膝に乗っけてやれば
すり寄ってくる


「(可愛い…)なんでこんな奴に惚れちまったんだか…」


正直こんなガキみてぇな奴に興味どころか惚れるなんて思いもよらなかった


「すきだ」

「ん、あれ…」

「…!」


聞かれたか?

いや、まだ寝ぼけてやがるか…


「いい加減起きやがれ!」

「わぁ!なんで姫ちゃん先輩!?っていうか私屋上に……テレパシー!?」

「馬鹿かテメェ!」


あまりにも思考回路がぶっ飛んだコイツの頭に拳を落とした

もちろん最低限の力で


「痛いじゃないですかぁ!」

「テメェが訳わからねぇことい言ってっからだろうが!」

「う…あ、さっき何か言ってました?」

「あ゛?」

「何か声が聞こえた気がして起きたんですけど…」

「…何もいってねぇよ」


眠るきみに秘密の愛を
((いまはまだ言ってやらねぇ))




20110915
 ウザがってみせる姫ちゃんが好き…
 なんだかんだ世話を焼く姫ちゃん

 

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