短編


□神様なんて【謙←光】
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―――あぁ、なんて気持ち悪いんや―――


『……っ、』

またやってもうた
ここ部室やのに
部長、迷惑かけてほんまにすんません
迷惑かけるんもこれで最後ですから
血がどんどん出てくる
止まらない
いつもこれが俺の中に流れてる
全部出てまえ
気持ち悪くて俺は何度も何度も自分の手首を切りつける
もう感覚なくなってきたわ

『ぅ…ッ、ゲホゲホッ』

あー息が苦しくなってきた
やっと死ねるんやな
…最後に謙也さんに会いたいな

俺のすべてやった謙也さん
結局謙也さんに伝えれんまま死ぬんやな

まぁええか、
俺男やし
男に告られて嬉しいわけないよな
謙也さんのそばに居れんなら死んだほうがましや

『け…や、さん』

謙也さん謙也さん謙也さん謙也さん

―ガチャ―

「忘れもんするなんてついてへんわ」

謙也さん…!?
神様おおきに…!
最後に謙也さんに会わせてくれるやなんて

「ん?誰かおるん…!?、ひ、光!?
なんで…なんで…そない血でてたら死んでまうよ…?」

ええんや謙也さん、俺はもう死んでも

「いやや、光…!!、俺光に言わないかんことがあんねん…!」

なんや?はよ言ってくれな眠くなってきたわ
スピードスターのくせにのろまやな

「お、れ…ッひかるッがす…きッ、やの…に…!」

……え? 
すき?
好きなん?
俺もっすわ、なんや俺ら両想いやん
両想いなんて幸せや…!
神様ほんまおおきに

「やから…死なん…でッ」

誰が死ぬん?
え…お…れ…?

せっかく両想いになれたのに?

いややいややいややいややいややいややいややいややいややいややいややいややいややいややいやや

神様助け…て……

「光!?、なぁ目ぇ覚ましてやぁぁぁぁぁ!!!!」

――あぁ、神様なんて居ないんや――

「光…待っててすぐそっちに行くからな」

最後になにか聞こえた気がした



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