短編

□不安と安心と口づけを
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きっとあたしは、単純な女なんだと思う。
好きな人に触れるだけで幸せな気持ちになるから。
彼のたった一言で安心できるから。






モモカンの用事で部活が休みになった。
滅多にないオフを隆也との時間に使おうと、あたしは隆也の部屋に来ている。



だが、彼は薄っぺらい紙とにらめっこ中。
あたしは、隆也の邪魔にならないようにと雑誌とにらめっこ中。
ただ、同じ空間にいるだけで
恋人らしいことなんて、なにひとつない。



ちらっと隆也を見てまた雑誌に目を落とす。
(あ、読み終わっちゃった)

「ねぇ、隆也」

「………」

え、無視ですか?
まぁいいや、眠いし寝ちゃお。
静かに雑誌をベッドに置き、横になる。



ふと思った。
そういえば、最近好きって言われてないかも。
もともとあんまり言わないんだけどね。
あたしのこと、好きだってのは判ってるんだけど
でも、たまには隆也の口から聞きたい。
不安に、させないでよ…馬鹿。
やばい、泣きそう。
このまま隆也の背中見てたら泣いちゃいそうだから目を閉じた。



「名前?」

「………」

「…おい、起きろ!」

「んっ…たか、や…?」



あれっ?あたし、いつの間に寝てたの。
あ、隆也の顔久しぶりに見た気がする。



「いつまで寝てんだ、もう18時だぞ」

「…あ、うん……ね、起こして」



そう言ってあたしは隆也に両腕を伸ばした。隆也があたしを引っ張る。
そのまま隆也に抱き着いた。



「どうした?」

「…寂しいの」

「………」

「せっかくのオフなのに、スコアばっかり見てさ」

「………」

「あたしのこと、全然構ってくれないんだもん」

「…あー、わりぃ」

「だから、ギュってして?」



あたしの言葉を聞くと、何も言わず抱きしめてくれた。
規則正しい隆也の心臓の音が聞こえて
また、眠たくなった。



「俺さ、ちゃんとお前のこと好きだから」

「えっ?」

「あんまりこんなこと言わないけど」

「うん」

「好きだから、一緒にいる」

「うん」



名前顔あげろって言われて
素直に顔をあげると
少しずつ隆也が近づく。
そしてあたしのソレに隆也のソレが重なる。



「ねぇ、もっかい」

「欲張りだな」



そう笑って、さっきよりも長い口づけをした。





( 不安になんなよ )
( 隆也次第だよ )





不安と安心と口づけを





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処女作です!
やっぱり上手く書けない。
一応、主人公はマネジ設定。


 

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