*


□志、青き春のために! 番外編
1ページ/6ページ

この日は、学園を甘いお菓子の匂いが包んでいた。
2月14日バレンタインデー、の翌日。
14日は日曜日だったため、みんな月曜日の15日に持って来ていたからだ。


それぞれ想い人にプレゼントをする日…。
渡される側はそわそわと落ち着かず、渡す方もまた、落ち着かないものだ。

深い溜め息をついて下校時間の騒がしい廊下を陸遜は歩く。

「はぁ……」

「何か悩みごとですか?」

下を向く陸遜の肩を優しく叩いたのは、豊かな黒髪を束ねた、禁欲的な白衣の似合う保健医の明智。

「明智先生…」

「私で良ければお話、聞きますよ?」

柔らかな笑みに思わず頷き、連れ立って保健室に向かう。そんな二人の後ろ姿を三人の男が眺めて居た。





「…そうですね、バレンタインデーですからね…」

「だって机もその横の段ボールにもチョコレートの山ですよ?」

この学園はかなりおおらかで、生徒と教師が特別な間柄でもお咎めがない。故に、陸遜もまた教師と親密な関係を持っていた。

しかしそのせいで、毎年教師陣の机は義理やら本命やらの混じったチョコレートで埋め尽くされる。
特に見目麗しい教師の場合は酷い。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ