Silver soul

□空谷の跫音
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その眩しい桃色の髪を撫でてやると猫のように擦り寄ってくる。
それに笑みが零れて殊更優しく髪を梳いてやればぎゅっと小さな手が服を掴んだ。


「トシちゃんの手は落ち着くアル。マミーを思い出すネ。」


その言葉に苦笑しながらも満更ではないと唇を寄せる。
唐傘で覆い隠しているにも拘らず、その髪からは太陽の陽の匂いがした。




「あー、酢昆布が食べたいアル。」


また堤防の上を跳ねるように歩きながら唐傘をくるくると回す。

時折聞こえてくる音はそっと夏風に消えた。
口ずさむ歌は何かは分からなかったが確かにそれは哀歌に聞こえた。
その哀音は自然と耳に馴染み目を閉じて聞き入った。


「あっ――」


ふと聞こえた声に目を開ければ目の前に広がるは海に浮かぶ真っ赤な夕陽。




「神楽
      みたいだ――
 トシちゃん 」




同時に噴き出しまた歩みを進める。
哀歌はいつの間にか童謡へと変わり、刹那昔に思いを馳せた。

二人で夏の海原に恍惚しながら時折音を口ずさみ……


あまりに異様なその光景は久しぶりに心を満たした。


神楽――


名前を呼べば視線が絡む。


「今日は気分がいい。何か飯奢ってやるよ。」
「酢昆布食べたいアル。」
「もっと贅沢言っていいんだぞ。」
「酢昆布がいいネ。トシちゃんと食べる酢昆布はきっと格別アル。」


あまりに滑稽な自分の姿を思い浮かべて一人笑いを零すが、あまりに綺麗な神楽の笑みにまぁいいかと口を継ぐんだ。

新しい煙草に火をつけ息を吐く。


「あっ、でもやっぱり肉も食いたいアル。」


好きにしろよ。


自然と緩む口許を煙草にかける手で覆いながら、
とりあえずは何でもいいが落ちてくれるなよと――




堤防の上の君を見上げながら、ふと心の中で小さく呟く。



今日のこの日 夏の空

空谷の跫音 紫陽花と共に ――





fin






神楽を甘やかす土方さんに萌え。
それで総悟がすねるともっと萌えr(殴

二人にべったりされる土方さんが好き。


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