リクエスト

□それでも君の隣りがいい
1ページ/3ページ



毎日のように見る顔がある。
それは決して不快なものではなく、むしろ心地良く心の中に浸透していった。


「ねぇ、トシちゃん。」


自分を呼ぶ声がとても愛しいと思う。
子供のように(実際に子供なのだが)くるくると変わる表情は見ていて飽きないし、何かを見つけたときに見せるその幼い顔が何より好きだった。


「なぁ、神楽。」


自分をそう呼ぶ声に酷く安心する。
素っ気無い態度をとっていても、実際に触れてみると誰より暖かい。
そんな彼の優しさが何より好きだった。


いつの間にか待ち合わせ場所は此処になっていた。
神楽は小さな公園で一人ブランコに乗りながらある人物を待った。
あと少し。
神楽のその予想を少しも裏切ることなく、じゃり、と砂を踏む音が耳に届く。


「トシちゃん!」


走り寄ってくる神楽を受け止め、土方は咥えていた煙草を揉み消した。
少しでも彼女に害のないように、土方は神楽の前では必ず煙草を吸わないようにしていることを神楽は知っていた。


「今日はね、いっぱい良いことしたアル。」


そう言ってにっこりと笑う神楽に土方も笑い返してやる。



.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ