リクエスト

□相互記念
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繋がる手と手



真っ青な空に灰色の紫煙がゆらゆらとのぼる。
煙草を吸う彼の手を眺めて、やっぱり大きいな、なんて思ったりした。


「何だ?」


あまりにもじっと見ていたせいか、彼はふとこちらに視線を寄越す。
私は隣りを歩きながらまた手元を凝視し、何でもないと笑った。


「変な奴だな。」


彼は短くなった煙草を揉み消して携帯の灰皿に入れると(あの灰皿は確か誕生日にプレゼントしたものだわ)、小さく欠伸を漏らした。
その仕草が妙に可愛くて思わず笑ってしまう。


「ただ、土方さんの手は大きいな、と思って。」
「手?」


えぇ、と肯定の返事を返せば彼はじっと自分の手を見て、そして今度は私の手へと視線を落とした。


「まぁ、妙の手よりかは大きいだろうな。」


ほら、とそう言われて思いがけず手を取られる。
な?と子供みたいな笑みを向けられてしまっては返す言葉もなかった。
すっぽりと覆われてしまった自分の手はあまりに小さく、彼の手は見た目以上に大きかった。


「たまにはいいかもな。」


徐々に顔に熱が集まるのが分かる。
こんな白昼に堂々と手を繋ぐなんて初めてで、どうしようかと戸惑った表情を向けると彼は開き直ったかのように更に握る手に力を込めてきた。


「仕事までまだ時間あるんだろ?」
「えぇ。」


そう言えば滅多に見せない優しい笑みを向けられて。
ほんとにもう、どうしてくれようか。


「久し振りにデートでもしますか、お嬢さん。」
「あら、これはデートじゃなかったの?」


私も開き直って先程より強く握り返したりした。


「最近何処にも連れてってやれてねーだろ。」


滅多に休みのない彼からの滅多にないお誘い。
こんなの逃す手はない。


「なら、歌舞伎町を一周したいわ。」


もちろん手は繋いだままで。


「仰せの通りに。」


たまには見せびらかすのも悪くない。
一回り大きな彼の手に引かれて、この手があれば何処までも行ける気がした。




  end





きーち様、こんなもので宜しければ相互記念に…っ。
もちろん返品可ですので!!
相互ありがとうございました!!


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