Silver soul

□髪弄り
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「沖田さんの髪って、光加減によっては金色にも見えるわね。」


勝手知ったる何とやらで志村邸に上がり込んでいた沖田は、寝転んでいた身体をのそりと起こした。


「そーですかィ?」
「えぇ、きらきらしててとても綺麗。」


沖田の横に腰を下ろした妙は、その髪をさらさらと梳く。
そしてふと思い付いたように口を開いた。


「ねぇ、少し弄らせて下さいな。」


そうにっこりと微笑む妙に一瞬沖田は押し黙ったが、それを肯定ととったのか妙はいそいそと準備を始める。
そして気が付いた時には沖田の後ろで楽しそうに髪を弄る妙の姿があった。


「久し振りだから何だかわくわくしちゃう。」


そう嬉しそうに言うものだから、沖田はいよいよ何も言えなくなってしまった。
とはいえ、彼女に逆らう気など微塵もなかったのだが。


「昔はよく新ちゃんの髪で遊んでたのよ。」


櫛が沖田の髪を丁寧に梳かす。
それに居心地の良さを感じながら沖田は目を細めた。
と同時に蘇る思い出。


「俺も、よく姉上に弄られてやした。」
「お姉さんに?」


縁側から吹き抜ける風が髪を撫でる。


「それが妙に心地良くて放って置いたら、気が付いた時には姉上の玩具になってたんでさァ。
 知らない間に頭にちょんまげができてたり。」
「まぁ。」


くすくすと笑う妙につられて沖田も笑みを零す。


「その時の姉上の手は何よりも優しかった。」


さらり、とまた髪が頬を撫でる。
少し覗き込んだ沖田の表情があまりにも柔らかくて、妙は彼の思い出に踏み込まないようにそっと櫛を滑らせた。




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