文章1
□綺麗な物
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さらさらゆれる佐助の髪
触れたらきっと、するりと指から逃げていくんじゃないかと思う
珍しい夕日色の髪
日の下ではきらきら光る
夜には漆黒にとけて落ち着いた色になる
大好きな俺の髪
周りの大人は汚いと言った
俺にはこの世で一番きれいなものに見えた
「旦那?」
今までなにやら解らぬ字の書かれた文を読んでいた佐助がこっちを向いている
それをただぼぅと見た
少し乱れた髪が顔にたれていて、なんともきれいだった
すると、少し困った笑顔を見せた
俺は、眉を少し下げたこの笑顔は大好きだ
「旦那・・・、髪、放してくんない?集中できないよ・・・」
いつの間にか、俺は佐助の髪をつまんでいた
そう長くない髪を引っ張ってしまったようだ
「あぁ、すまん」
あやまりはするが、俺は放さなかった
しかし、佐助は少し困った顔で微笑み、またわけの解らない文を読みだした
さらさらさらさら・・・
佐助がなにも言わなくなったのをいいことに、俺は佐助の髪を堪能した
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