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□ハッピーバレンタイン
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今日はバレンタインデー、セント・バレンタインが処刑された日
そんな物騒な日にお祝いするなんて、俺にはまったく意味が分からない
「ね、佐希は誰かにチョコ渡すの?」
「ばっか、佐希には春日くんがいるじゃん!」
「あぁ〜!やっぱり2人って付き合ってるの?」
佐希と呼ばれているのは、俺、猿飛佐助
何の間違えか…、俺は昔の記憶を受け継いだまま女に生まれてきてしまった
昔は全戦国に名を轟かした戦忍だったと言うのに……
「いや、かすがちゃんとはそう言う関係じゃないんだってば!」
しつこく問い詰めてくるクラスメートたちにそう言いながら笑ってやった
かすがとは昔なじみで幼なじみだ
兄弟のような存在で、とてもそんな対象には見ることができない
群がっていた女子たちは『えぇ〜、お似合いなのに残念!』だとか『じゃー私にもチャンスはあるよね!』とか言いながら散っていった
(バレンタイン、か…。そう言えば、旦那も甘いもの好きだったよなぁ)
「佐助?何をぼーっとしてるんだ?」
「あ、かすがちゃん!……大荷物だね。」
あの人に思いをはせていると、後ろから昔馴染みが話しかけてきた
その手には沢山の包み箱を持っていた
「バレンタインだそうだ。」
「相変わらずモテるね。」
「……嬉しくない。」
そう言うと思った、と笑ってから、じゃーもう一個要らないもの追加してあげる♪と言って俺もチョコを渡した
「ハッピーバレンタイン!ホワイトデーを楽しみにしてるから♪」
「おまえってヤツは…」
笑いあった俺たちを見て、女子の中でまた、付き合ってと噂がたってしまったのは後日談だ
(本当はもう一つ作ったんだ。毎年、自分で食べることになっちゃうんだけどね・・・)