05/24の日記

23:11
お天気あめっ
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オリジナル


明神神社。

そこで、一人の青年が、舞い落ちてきた落ち葉を掃除している。

長い赤茶の髪を下の方で堅く結び、微かに微笑んでいるかのような口元。

落ち葉を集めると、青年はため息をついた。

「さて、はて。いっぱい今年も葉を落としましたね。いちょう様…」

青年の言葉に、答える者はいない。
ただ、青年の目の前には、いちょうの木が生えていた。

ごぉっと風が吹き、青年は、集めた落ち葉を見下ろして苦笑をした。

「散らかってしまいましたね」

集めた落ち葉は、先ほどの風によりあたりに散らばっていた。

青年は、また掃除を始める。
しかし、青年が集め終わるのを見計らったように、風がまた吹き、落ち葉は辺りへと散らばってしまう。

「まったく、困ったものですね」

青年は掃除の為俯いていた顔を上げると、空に向けて微笑んだ。

「そろそろ…イタズラは止めにしませんか?風神様…」

青年の問いかけに、誰かが答える。
姿は、見えない何かが。

『ふんっ!人間などに、命令される筋合いはないわっ!』


「また、雷神様と喧嘩でもなされたのでしょう?」


青年は、ニコリと笑ってみせた。

『うるさいっ!奴とワシは関係ない!それより、貴様…その姿は止めろっ!』


一際激しい風が吹き、青年を包み込んだ。

「バレた?風神様は、カンがするどい…」

それと同時に、先ほど掃除をしていた青年と同じ青年が、いちょうの木の太い枝から降りてきた。

『貴様…何者だ…』

姿なき声が訪ねる。

「俺…?俺はただお前の姿が見えちゃう一般人の一人。陰陽師、安倍晴明の一族さ」


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