カードファイトヴァンガード 短編

□女子会!
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「激しく、厳しい戦いだったと思っている。味方にも敵にも数え切れない犠牲者が出た。あのまま交渉旗を上げていなければ泥沼化しただろう」


アルフレッド自身、戦よりもその後処理のほうに忙殺されている状態だった。

「部下達への配慮さえ今のところ追いついていないしな」
その一言は半ば独り言のようなものだったが、本音であり、弱音だった。

連日の激務でアルフレッドも、いつもはそうした発言を諌める役目のブラスターブレードも、そこまで気をまわすことができなかった。


「では、女性騎士の対応を私にお任せ頂ければと」

「……それで、貴賓室か?」

「はい」

「……わかった。許可する。……悪いがブラスターブレード、書類を……」

アルフレッドが言い切る前に、執務机の上に紙が置かれた。それは貴賓室の使用許可の書類で、後はアルフレッドのサインを書き入れるのみとなったものだった。

用意した懐刀を、弾かれたように見上げた。そして、相変わらず毅然としている女騎士を見た。その瞬間合点がいった。

「なるほど?」

戦直後のこの状態では、貴賓室の使用許可なんて提出しても優先順位が低すぎて最終決裁にくるにはかなり時間がかかってしまう。だからモルガーナはあらかじめブラスターブレードに話を通して直談判したのだ。つい、口角が上がった。

「二人で私をはめたんだな」

言葉より楽しげな声音だという自覚はあった。

「すいません。私も彼女の行動には賛成でしたので」

アルフレッドは使用理由を見て、笑いながらサインをした。

「いや、私もこれには賛成だ。助かるよ、モルガーナ」

モルガーナは艶やかに笑って見せた。
よく見ると、顔色が悪いのを化粧で隠している。出陣していたのは彼女も同じ。
けれど、彼女の毅然とした振る舞いが疲れを感じさせなかったのだ。


「勿体無いお言葉です、陛下。
では、薔薇の騎士モルガーナ、御前を失礼いたします」

最後まで彼女の立ち姿は美しかった。
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