カードファイトヴァンガード 短編
□絆の先の未来は赤か青か
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「ガイヤール君」
退出しようとしたカトルナイツの中で、アイチはガイヤールのみを呼び止めた。
他の三人の視線を感じながら、ガイヤールは部屋に残った。
「アイチ様、なにかご用でしょうか」
アイチは、淡く笑った。
「ガイヤール君に、お願いがあるんだ。僕が眠りに入る前に、どうしても」
「僕でよろしかったら、なんなりと」
「これを」
差し出したのは、デッキ。しかも、かのリンクジョーカーを打ち破った時に彼が使ったゴールドパラディンデッキ。
「これを、僕に?」
「ガイヤール君に、持っててほしいんだ。僕はこれから眠りにつく。だから、君と一緒にその仲間達を、戦わせて欲しいんだ」
「しかし……」
「もちろん、無理にとは言わないよ。ただ、ここにいるよりは君に持っていてもらいたいんだ」
「アイチ様」
「僕は、この世界を守りたい。そして、君はそんな僕を守ってくれる。だから、その信頼の証として、僕の盟友として、受け取ってくれないかな……?」
ガイヤールは、不覚にも、胸が震えた。盟友。共に戦う仲間として、アイチはカトルナイツに信頼を置こうとしている。
実際に戦うのはアイチのみで、外を守ることしかできない、この、カトルナイツを。
信頼しあう、騎士王と懐刀のような、そんな言葉を、使ってくれている。
震える手で、デッキを受け取った。
それと同時に、暗い優越感がガイヤールの心を占めた。
今の彼のそばにいるのも、盟友として信頼されるのも、僕なのだ、と。