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□〜どうしようもなく〜
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私の意識はサッチが部屋を出て行った後に完全に途切れた。
途中夢現に聞こえてくる、皆の穏やかな笑い声だとか、体がフワフワとまるで宙を浮いているような感覚だとか
ぬくぬくと暖かい幸せな感覚だとかを薄く上がったり下がったりする意識の中で感じてはいたけれでも、
それが何なのか考えられる程、意識ははっきりとしなかった。
今もそうだ。まだまだ夢半分に寝返りをうってみると、すごく暖かい布団に気持ちがよくていつまででも寝れそうな気がする。
そこに手を伸ばしてみると、ふわっとした何かがもぞっと動いた。
懐かしい感覚に思い出なのか夢なのか判別のつかない映像が頭を流れる。
まだ、弟が小さかった頃。よく一人では寝れないとぐずって私の布団に潜ってきていた頃の話。
そんな時、私は決まって半分寝ぼけながら、布団に弟を招き入れ、頭を撫でて寝れるようにしてやった。
半分寝ぼけながら、それでも弟が寝付くまで頭を撫でてて寝かしつけていた。
随分と懐かしい夢を見ている。
いつからだろう、あの子が私の布団に忍び込んでこなくなったのは。そんな事を考えながら、弟と間違えている柔らかい髪を撫で続けていると、
「ん…」
と声を出して私の方に擦り寄ってきた小さくて可愛い私の弟。
「おねーちゃん、まだ、ねむい、から、もうちょっと、ねよー、ね」
そう言って、夢現に弟のオデコにキスを落としてやると、嬉しそうに笑って布団の中に潜った弟。
ここまで寝ぼけておいて、突然ふと疑問がわく。
弟だってもう大学生になるくらい大きくなった、よね?
流石に布団に潜り込んではこないでしょ?
てか、この前デコに(*´・з・`*)チュッ♪
ってしようとして、クロスアッパーかけられたよね?
と、いうか私は今どこで寝てるの?
そして、この暖かいのは。。。誰…?!
そう思って恐る恐る目をあけてみると私の胸に気持ちよさそうに鼻を寄せているちょっと癖のある黒髪の持ち主が見えた。
顔ははっきり見えないけど…エース…?
え、ここ、私の、へや、だよね? あれ?なんでエースが一緒にベットで寝てるの?
と、慌てて昨夜の記憶を引っ張り出そうと思うが何も出てこない。
オヤジ様とお風呂に入った辺りまでは覚えてるんだけどー…?
でも、エースならいっか。
なんて普段なら絶対有り得ない考えに辿りついた私はきっと寝ぼけてる。
でも、それもいいかもしれない。
そんな事をうにゃうにゃと考えていると、さっき覚醒したはずの意識はエースの体温と、布団の暖かな誘惑に負けてまたしても沈みゆくのだった。