忍おんだお!

□一章 青春募集
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《1話 春ウララな私》




「……」

『……』

「『スピーードッッッ!!!』」




シュババババババババ




『わわああ!!何やってんだよ!!作コノヤロー!!!』

「今、俺が6を出そうとしたのに何で8を出すんだよー!!」




ぽかぽかの日差しが入ってくるこの部屋で私は幼馴染の富松作兵衛と一緒にトランプゲームのスピードをやっていた




「そーいえば明日高校入学だよな?」

『うん?まーね。はぁー友達できるかな』

「うわ、何言ってんの?そんな漫画で出てきそうなこと言って」

『少しは心配して”大丈夫だよ”の一言ぐらい言いなさいよね!』

「だーー!!髪の毛引っ張んじゃねーーーー!!!!」

『だまれ!!!ガキ!!』

「俺もう中2だもん!!!ガキじゃねーよっっ!!!」

『私にとってはまだまだガキだよ!!』


数分後



「ハァーハァーハァー…」

『ハァーハァー……あはっ、ハハッ…』

「何笑ってんの?キモ」

『いやー…高校生にもなってこんなことしてる私がとても笑えるから』

「ククッ。確かに」




そう。私はこの春に大川高校へ入学する事なっている。大川高校は大学までエスカレート式になっているので選んだ。ま、家が近いからて言うのもあるけどね


「しかし、よく夢子ちゃんの頭で行けたね」

『私をなめたらいけないよ?これでも前期なんだからっっ!!!』

「なんか裏で手でも回した?」

『作〜なんであなたはそんなに疑うのさ』

「いや、ふつーに内申82で行けるか?あの私立並みに頭の良い学校によ…」

『なめるかよ!!』

「はいはい。あ、そろそろ帰ろうかな」

『さーーくべぇぇええ!!!帰るなんて許さない!!』

「いや、帰るから」

『許しません!!!』

「……じゃあ…」

『うん』

「帰る」

『意味わからない。泊まってきなよ』

「俺も明日は部活があるんでね」

『このスポーツばか』

「黙れ。じゃあね、おやすみ」

『………おやすみぃ』




バタン


静まった家。家には私だけ
親は離婚して母親と2人暮らし。母親は出張が多いために家に居ることはほとんど無い。ちなみに今はヨーロッパの方に行ってるとメールが来てた

くそぅ
寝るし、もう寝てやる



隣の家の部屋の明かりがついたのを確認して私は窓に手をかけた




『どぉりゃぁぁぁぁぁああああ!!!』

「ぎゃあぁぁぁぁああああ!!」

『おや?鍵が開けっぱなしですぜい、兄ちゃん』

「不法侵入者だ!!」




私の部屋の窓から隣の家の作兵衛の部屋のベランダに飛び移るのは女の子が出来るような事ではない
でも、ずっとやってきたから出来ちゃうんだなー。コレが




「勝手に入ってこないでよ」

『じゃあ私は寝るね!おやすみなさい!!』

「人のベット占領しないでください!!」




明日は入学式だもん。一人で寝るのは悲しいんだよ




「はぁ…たく、下で寝るか。おやすみ夢子ちゃん。そして、おめでとうございます」


バタン


『………おやすみさい。ありがとう』




******




「起きろーー」

『んぅーー……ハッ!』

「学校でしょ?俺も部活なんで早く部屋から出てくれねぇ?」

『んーー……今何時?』

「7時だけど?」

『あー。うん。おはよ』

「おはよ。じゃあ俺は部活に行くから家に帰れよ」

『作ちゃんの意地悪』

「ちゃんとか付けるな」

『富松作兵衛!!』

「フルネームで呼ぶな」

『とにかくお腹空いた』

「…そう言うと思って、はい」

『肉じゃがだーー』

「では、さようなら〜」

『コラッ!ベランダに出そうとするな。せめて玄関から出させてくれ』

「来た所から帰って下さーい」

『畜生…』




渋々ベランダに足をかける
よっこいしょ…。なんて夢子言わないよ。タ●チの南ちゃんぽかったよね?




「…夢子ちゃん女の子の自覚無いのかな…」

『いつもやってることでしょっ……て、うわっっ!!』



ズルッ←足が滑る音

ガツッ←顔面を窓枠にぶつかる音

ドサッ←地面に落ちた音



「うわあああああああ!!大丈夫かぁぁああ!夢子ちゃぁぁあああああん!!」

『………………』

「……………あの」

『え?……Σハッ!す、すみませんっっ!』

「いえ……あの、鼻血が出てますけど大丈夫ですか?」

『えっ!?うわっ本当だ!』

「足も怪我してる…このハンカチ使って下さい。じゃっ俺はこれで」

『…………』




てら、イケメンだったし
私少女漫画の主人公になった気分だったんですけど




「夢子ちゃん!大丈夫か!?て、あれ?どうしたの?」

『作……私、生きてる?』
「まあ、生きてると思うよ?ほら掴まって」

『ん。私……知らない人に親切にされたっ!ハンカチ貸してくれたっ!!』

「お礼言った?」

『言ってない』

「この人見知り」

『しょうがないじゃん』

「何してるんだ?作兵衛」

「あ、食満先輩」

『留くーん。後ろ乗っけて』

「なんだよ、唐突に…いいけどまずは着替えてこい」

『へいっ!』




いいところに近所の兄ちゃん食満留三郎に会ったぜ!留くんは私と同じ高校だから丁度いい
ちなみに高校2年生




『着替えてきやしたーー!』

「Σ早っ」

「よし、行くぞー」

「あ、俺も行かなくっちゃ」




そのあと作から部活に遅刻したという報告が来たのは私達が学校に着いた頃だった

でも、それはまた別の話し




『ごめんよ作』





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