バクマン(長編Tサイドストーリー)

□僕がアシスタントをやめたワケ
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「中井さん、どうも。先日は参りましたよね」

待ち合わせ場所の、吉祥寺中央口に着くともう一人のアシ中井さんがすでに待っていた。

「いや、俺は別に…」

へー、そうですか。
これから高校生のアシやるってのに気にならないんだな、このオッサン。

それから間もなく服部さんが改札から姿を現した。

「やあ、悪いね二人とも。仕切りなおしでさ」

「いえ…」

そして、再び先日歩いた道を通って、新妻「先生」のマンションに向かう。

「服部さん、先日のアレ、大丈夫だったんですか。あの子、勝手に違う作品描いてたんですよね?」

「ああ、あれは一先ず無事決着がついたよ。新妻くんが勝手に描いてた『CROW』の方が連載するはずだったやつより面白いってことでね」

「じゃあ、連載はその『CROW』になるんですか?」

「そうなるね。一話目はもう出来てるから、君たちには二話目から入ってもらうことになる。まあ、今日は顔合わせってことで。新妻くん、アシスタントとやったことないしね」

「『CROW』か…。確かに『赤マル』のは面白かったけど。中井さん、『赤マル』読みました?」

「一応読んだよ。だけど俺はもう一つのやつの方が面白かったけど」

「もう一つ?」

「ああ、中学生だか高校生だかのがもう一つ載ってただろう?」

「ああ、あれだろ?亜城木くんの『金と知恵』。彼らは今中3だよ。新妻くんより1コ下なんだ」

前を歩いていた服部さんが答えた。

は〜っ、高校生に中学生かよ…。やれやれ。
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