バクマン(長編Tサイドストーリー)
□僕がアシスタントをやめたワケ
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翌日、中井さんといっしょに4時からアシに入った。
「新妻先生、今日からよろしくお願いします」
俺と中井さんが挨拶してもとくに何をいうでも指示するでもない。
「はい、よろしくです」
と言ったっきり、また自分の原稿を書き始めた。
「あの、先生、俺たちが仕上げる原稿は…」
さすが年の功。中井さんがめげずに新妻エイジに尋ねている。
「原稿なら、床に置いてあるやつがそうです。それお願いします」
床?言われてみれば、新妻エイジの机を中心にして原稿があちこちに置いてある。
これを自分で拾って仕上げろって?
なんて尊大なガキだ。
「下山くん、やろう」
中井さんはもう平然と流している。この程度のことにいちいち腹を立てるつもりもないらしい。
「…そうですね」
俺もしぶしぶ頷いた。