バクマン(長編T)
□三福団子(2)
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かくして約束の日曜日―
私は吉祥寺駅でエイジを待っていた。よく考えたら私服を着ていっしょに出かけるのは初めてなのだ。
制服姿でなら、学校帰りにけっこうあちこちの店に寄ったりしていた。
ワッフル屋とかシフォンケーキがおいしいお店とか、アイスクリーム屋とか…その他etc.
なんせ生活圏は吉祥寺。高校生が寄り道する店にはことかかないのだ。
でも私服となると、やっぱりちょっと意識してしまう。董子が相手なら着ていく服にそんなに頭を悩ませたりしないのだが、エイジとはいえ一応男の子となると…
それで昨夜は今もっているお気に入りの服を色々引っ張り出してみてあれこれけっこう時間をかけて悩んでしまった。
スカートは赤のチェックがいいか、それともベージュがいいか、いや黒がいいかとか。
スカートがこれならインナーはこれで、カーディガンはこれでなどなどとっかえひっかえしていたら、ママに「ずいぶん浮かれてるのね」とか言われてしまった。
…浮かれてた?私が?それじゃ私がまるで今日をものすごく楽しみにしていたみたいではないか。いや、決して楽しみじゃないというわけじゃないんだけど。
結局、ネイルとか髪飾りとかのアクセサリーまで全部決まったのは、けっこう夜遅くなってからだったと思う。
う〜ん、中学のときはじめて男の子と遊びに行ったときはこんなに用意に時間かけなかった気がするぞ。