歩く。
すぱ、手が落ちた。
歩く。
ずば、腕が落ちた。
走る。
ごろ、首が落ちた。
止まる。
体が六つに分散した。
辺りを見回す。
血だまりに僕が写っていた。
「『意味のある殺し』」
「これは、意味ある殺し」
「今は夜だ、だから殺す。ここは路地裏だ、だから殺す。僕は女子高校生だ、だから殺す。尾行されている、だから殺す。目の前に人がいた、だから殺す。僕の友人が生徒会長になれた、だから殺す。僕の友人と知り合いが両思いだ、だから殺す。僕は蚊帳の外だ、だから殺す。僕は寂しい、だから殺す。これは夢だ、だから殺す。これは妄想、だから殺す。理由がある、だから殺す。僕は歩いた、だから殺す。僕は走った、だから殺す。僕は止まった、だから殺す。理由があって人を殺す僕は殺人鬼じゃない、だから殺す」
手に持った日本刀を落とした。
頬を伝う生暖かい液体を拭い、振り返る。そこに立つのは長身でオールバックの男。
その男は言った、
「私の家族にならないかい?」
零崎じゃないけど、殺人鬼じゃないけど、
誰かに甘えたくて、その手を取った。
**********
零崎覚醒した宗像形成り代わり(♀)。