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□text2. 社長より、社内案内です。
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「………え、マジ?本当に?
本当に私の会社に来てくれるの⁉」


「……あ、まあ……」


私の言葉に少し引き気味な彼の手を取って、感謝の言葉を述べると。
あらかじめ用意していた会社までの地図と自分の携帯番後を書いた紙を渡辺君に握らせて、もう一度お礼を言ってその場を去った。


「………台風か。」


そんな呟きも、すでに去った私には聞こえなかった。



〜翌日〜


「………ここか。」


新庄に渡された地図を頼りに進んでいくと、大通り沿いにある大きなビルに行き当たった。


「…s.t.s.k…か、聞いた事無いな。」


ビルの前で一人頷いていると、中から一人女が出て来た。
…見るからに整った顔の女は、いきなり俺に話しかけて来た。


「…えっと、渡辺敦志君ですよね?」


「……はあ。」


「やっぱり!お話しは聞いているわ!
さ、中に入って入って!」


「………?」


俺はそのまま、女に引きずられながら、ビルの中に入って行った。


ドアをくぐると、ロビーの左側にあるエレベーターに通された。


「階は既に押してあります!
じゃあ、私はこれで!」


「……は?」


気づいた時には時すでに遅し。
エレベーターの扉は閉まり、既に動き出していた。


「……なんなんだ?ここは……。
と言うか、新庄はどこなんだ…」


はあ。


俺はエレベーターの中で、小さくため息をついた。


ちんっ


どうやら目的の階に到着したようで、扉が開いた。


エレベーターから降りると、目の前の扉が開いた。


「…いらっしゃい、渡辺君。」


そこには、スーツ姿で椅子に座って微笑む新庄の姿があった。
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