多重トリップ
□合同合宿は波乱の予感
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「合同合宿?」
通常練習の後突然かけられた招集に従って、レギュラーが集まる部室に行った途端聞かされた話に目を瞬かせて鸚鵡返ししてしまった。跡部くんは気にする様子も見せずに頷くが、忍足くんはちょっと気になったのか私を見ている。
「ああ、関東大会も終わったしな。全国前に跡部財閥の別荘で行う」
「参加校は?」
「とりあえず手塚からはOKを貰った。立海の方も返事待ちだが、鉢屋が居るんだからまず断ることはねえだろう」
宍戸くんの質問に答えた跡部くんはとても手塚くんを意識しているから嬉しそうだ。しかし立海についての発言に誰も突っ込まないのが逆に異様だ。そんなに分かりやすいか鉢屋三郎。…いや、分かりやすいか。
「三校合同ってことですか?」
「いや、どうせなら四校…大阪の強豪四天宝寺を加えたい。確か忍足の従兄弟がレギュラーだっただろ」
「せやけど…何で知っとるん、跡部」
鳳くんの疑問に否を唱え、その口ですぐさま忍足くんに声かけする跡部くんの目はいかにも不敵だ。ちょっと忍足くんがたじたじムードである。
「アーン?俺様の情報網をなめるなよ。話を通しておけ、監督にも打診するつもりだが、身内の賛成があるとやりやすい」
なんなら旅費もこっちが持つぜ、と笑う跡部くんはやると決めたことを確実にやる人だ。忍足くんはそれが良く分かっているせいか、苦笑すると「任せとき」とだけ言った。
「去年は部長の白石まで回らなかったからな…実力を知るいい機会だ。蛍、マネージャーは各校に一名ずつ用意するよう申し付けておく。お前は氷帝のサポートに専念しろ」
「了解」
まだ参加校もマネも確実なことじゃないだろうに言い切る跡部くんが凄い。構想段階からもう彼の力に引き寄せられてしまうのが分かる。しかしなんとなくこの合宿、嫌な予感がしているのだ。本当に何となくだから、杞憂に終わることを祈るのだが。
「蛍ちゃん、どないしたん?」
ぼうっとしているのがばれたのか、さっきから此方を気にしていた忍足くんが肩に手を置いて心配そうに尋ねてくる。小さい声で周りに聞こえないよう気遣ってくれているのが嬉しいところだ。
「ううん、何でもない。ただちょっと、胸騒ぎがするだけ」
「…まあ、個性的なメンバー揃いそうやしなあ」
「ふふ、そうだね…賑やかになりそう」
私の不安は根拠もない第六感だ。忍足くんはあんまり気にするなという意味を込めて頭を撫でてくれたんだろう。慣れないことだが見た目だけで言えば忍足くんは中学生に見えないのでそこまで抵抗はなかった。ただ此方を見た跡部くんとか日吉くんとか宍戸くんとかの目が痛いけど。そんなに不思議な光景ですかね。
***
・逆ハー狙いの女の子というものを初めて書いてみる。
・やっつけたりというよりかは遊ばせてもらうというかなんというかな予定。
・本編と同じで幸村も手塚も普通に出ます。
・書ききれるか不明ですが気の向くまま頑張ります。
・お付き合いしていただける方は先にお進みくださいませ。