09/10の日記

09:10
工藤の日
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※いつも以上にパロディ色
※デフォルト名あります


 私がコナンくんと出逢ったのは中学生の頃だった。二つ上の兄と見比べては動揺している私に、ママは「新ちゃんにそっくりでしょう? 残念ながら隠し子じゃないのよね〜〜」と相変わらずの若々しさでふわふわ笑っていた。「遠い親戚の子なの。ご両親が海外に行っている間、うちで預かることになったから仲良くしてね」どこかで聞いたような設定を語る母に違和感はなく、「よろしくなー」と突然出来た弟的存在にわくわくしている兄を見れば、これが現実のことで演技でもなんでもないことはすぐに知れた。つまり、これは、なんだ。パラレルワールド的なやつなのかと納得したのはコナンくんが来て一ヶ月が過ぎた頃で、それまで彼を見るたびにまじまじ見詰めてしまっていたこともあってコナンくんは私に嫌われていると思っていたらしい。それからそのイメージを払拭させるために動いた甲斐あってか、コナンくんと私は非常に仲が良い。仲が良い、だけなら、良かったんだけど……。

「あ、の、江戸川さん?」
「もう正式に工藤だけど? なあに、ひとかさん」
「そのー……、もう、一霞ねーちゃんって呼んでくれないの?」
「押し倒されててなおそういうこと言うんだから、ひとかさんはズルいね。それとも酷くされたいの?」
「アッごめんなさい黙ります」
「どっちにしても口塞いじゃうけどね」

 新一くんが縮んだわけでない等身大のコナンくんかっこ六つ下かっことじを愛でていたら女子大生になった私をソファーで馬乗りしてくる中学生が爆誕していた件について。頭の中でやたらと件名の長いスレッドを立てようとしても、私一人じゃ良い解決案も何も浮かばなかった。何より挟むように触れてくる柔らかい唇をイヤだと思えないことが問題。

「両親が居なくなって泣けなかった俺に、家族になろうって言ってくれたのは嘘だったの?」
「それは、前から、コナンくんのこともう家族だと思ってたし……」
「ひとかさんなら養子と実子が結婚できること知ってるでしょ」
「う゛〜〜〜〜知ってるけどォ!!」

 罪悪感が凄い。中身が外見年齢と一緒な青少年をたぶらかしてしまった感が強い。両親が忙しかった結果すっかり子供らしさをなくしていたコナンくんが笑ってくれたときの嬉しさとか、我儘を初めて言ってくれたときの胸のときめきとか、覚えているからこそ私が洗脳してないか不安になってしまう。だってコナンくんは中学三年生なのだ。高校、大学、その先の社会でもっと素敵な女の子と出逢わないとは限らない。

「また余計なこと考えてる」

 泣きそうになっていた私の目尻にコナンくんが口付けてヒョッと情けない声が出てしまった。そのまま耳に触れ、至近距離にも程がある位置で息を吹き込むように囁かれる。

「素直になろーな? ひとかさんが好きなのは誰?」
「!!!!」
「昔から『コナンくんが一番すき!』って言ってたのは嘘だった?」
「ううぅ……嘘じゃないです……」

 蚊の鳴くような声で主張したのは偽りない本音だ。コナンくんが一番好き。ショタコンだと思われても構わない。本人に本気で嫌がられない限り主張し続けて、そのうち口に出せなくなったら心の庭にでも埋めてしまおうと思っていた。本人に拾われるなんて想定外で、あまつさえ同じ気持ちを返してもらうなんて、現実味が無さすぎて尻込みしてしまう。

「何度も伝えたでしょ? 俺も好きだって」
「サービス精神旺盛な推しだなと思ってました……」
「めちゃくちゃスキンシップもしてたし」
「思春期遅い甘えん坊さんかなって」
「ひとかさん」
「すみません!!」

 兄と蘭ちゃんのラブコメを身近で見て育った私としては、バーローしてないコナンくんが計算高い小悪魔にしか見えなかった。結果的に私を落とすための行為だったことを思えば推測は合ってるんだけど、それにしてもお姉ちゃんに懐いている弟ポジションだったじゃん。両親を油断させてこうして二人っきりの機会を多く設ける為だったというのは身をもって知ったけど、何度押し倒されても慣れない。

「あの、聞いたことなかったけど、十八まで待てなかったの……?」
「予約しないと不安」
「よやく」
「勝手に俺の気持ち想像して諦めないで。ちゃんと待ってて」

 据わった目で私を頷かせようとする彼に流されてしまいたい自分と、首肯して天国を味わった後に落とされるかもしれない地獄に怯える自分がせめぎあう。今日もハッキリ応えられない私なのに、コナンくんは全部分かってるみたいな顔で私に触れる。拒めないズルい大人を許して、好きだと何度も伝えてくれる。

「ひとかさんの眼は雄弁だから、辛くはないよ」

 溢れてくる想いは伝わっているらしい。思わず目を逸らした私にクスリと笑って、コナンくんは続ける。

「余所見だけしないでくれれば、あとは俺が幸せにするから」

 強引なイケショタに頷かされる日はきっと近い。



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平成最後の工藤の日なので、元号変わった日本からトリップしてくる男主の工藤新一夢を書こうかなあと漠然と思っていました。蓋を開けたら工藤コナンくんを書いていました。これは最早工藤の日を祝っていることになるんだろうか……?と首をかしげつつ投下します。ショタコンだからしょうがないね。



☆コメント☆
[えりな] 09-20 21:53 削除
はじめまして!えりなです!
これからもコナン夢楽しみにしています!!!

[湊] 04-20 17:05 削除
えりなさんへ!
コメントありがとうございました〜

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