べるぜバブBL、NL小説

□君は眠り姫
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ようやく止まった涙をぐしぐし拭って
洗面所で顔を洗って心を落ち着かせて

「よし、落ち着いたし泣き跡残ってないし、うん、大丈夫だ」

そう言って階段を上る古市は
時間もたったし、もしかしたら男鹿目覚めてるかも
と考えて、同時に男鹿の好きな人も判明すると思うと、またさっきの衝動がよみがえってきそうで頭をぶんぶん震わせ、考えを消した
そしてドアの前で深呼吸するとドアを開けて中へ入った。

「あれ…?」

思わずそう呟いてしまったのも無理はない
男鹿は目覚めていなかったのだから。

「なんで…?」

部屋の隅っこでよどんだ空気を発している邦枝にまだ言い合いをしている神崎と姫川、それに寝ている男鹿で遊んでいる東条。
それは古市が部屋を出ていく前とあまり変わっていなかった

「こやつら全員駄目だったぞ」

そう言ってヒルダは古市を見る

「こやつらにキスされたなどと知ったら男鹿はどういう反応をするだろうな」

クツクツと笑うヒルダも、朝から代わりのない表情だ。

ていうか、この人たち、理解してキスしたんだろうか
いや、深くは考えてないのかもな
ヒルダさんの遊びだと思ってやったのかもしれない

男鹿がキスされたなんて思うと凄く悲しいのだが
この中にいないとなるともっとキスされる羽目になるのだよな
そう考えると一層悲しくなった
また目が潤んできたかな
と思った古市にヒルダは

「貴様がまだだろう」
と言った。

「え…いや、だから俺は…」

男鹿に避けられて、嫌いだと言われた
それなのに、キスしたって意味がないだろう?
そう思う古市にヒルダは

「やってみなければわからないだろう?」

と言う始末。

「でも!…嫌いな奴にキスされたら…男鹿が可哀想じゃないですか」
「そんなの、今更だろう?いいからやれ」

確かに、東邦神姫がしたのだし、今更だ。
でも、俺はあまり気が乗らなかった。
もし男鹿がオレのことを好きなのだったら死ぬほど嬉しいが、やはり嫌いだった時のことを考えると気が引ける
あぁ、そうか。
俺は男鹿が可哀想と言うよりも
男鹿が自分の事をなんとも思ってないとわかるのが怖かったんだ。


サイテーだ、俺。


またもや潤んできた俺の目に映る男鹿の寝顔は本当に綺麗で…―ドガッ
ってあれ?俺、そんな男鹿に向かってダイブしてるよあははははー
「みゃぅっ!」ドシャッ


原因はヒルダだった。
ヒルダが古市の背中を足で蹴飛ばしたのだ
力はそこまで込もっていなかったが
考え事をしていた古市にその勢いを止めることはできなかった

―その結果。



「「「「あ。」」」」

目の前の光景に、東邦神姫は声を揃えてそう言った。
目の前には、男鹿にキスしている古市がいた。


―……っ!!
「みゃぁあぁぁぁあぁぁ?!!!何すんですかヒルダさんんんん!!?!!////」

ヒルダにどつかれ、不可抗力で寝ている男鹿にキスしてしまった古市は、バッ、と男鹿から離れ、顔を真っ赤にして、ヒルダへの怒りと男鹿への申し訳なさと東邦神姫に見られてしまった事への恥ずかしさでわけがわからないまま叫んだ。

うわぁぁ最悪だ!
どーせこのまま男鹿は目覚めないでまた色んな人にちゅーされるんだろ!
あーあ!俺は男鹿に一回でもちゅーできて嬉しかったよでもせめて自分の意思で覚悟決めてやりたかったなぁぁうあぁぁ!
そんな思考を巡らせ、あー泣けてきたと目を潤ませる古市に

「ん…ふるいち…?なんで泣いてんだ…?」

寝ぼけ顔の男鹿が目を擦りながら問いかけてきた


…って、男鹿…?

「お…おがぁぁ?!なんで…なんで目覚めてんの?え?」
「あー?なにいってんだふるいちー…俺が起きたら駄目なのかよぉー」

まだ寝ぼけているのかいつものような迫力はないが男鹿は目覚めていた。

「…と、言うことだ古市。」
「…へ?え?うそ…まさか」

男鹿が目覚めた、と言うことは、だ。
最後にキスした古市と男鹿が両思いと言うことになるのだ
それはとても、とても嬉しいのだが

「嫌いなんじゃなかったのかよ…!?!」
「は?何が?」

混乱している古市は男鹿に問うが状況を理解できていない男鹿
ほんとにどーゆー事なんだ?
嫌いとか言って避けてたくせに…

「本当に貴様は鈍いな、他の事に対してはまだ鋭いだろうに」

ヒルダの言葉に「鈍い…?」と首を傾げる古市

「つまり、男鹿殿は照れ隠しをされていたのだと…」

何処からか現れたアランドロンがそう言うが、まだ頭に「?」を浮かべている古市
それを見たヒルダは「おい、こいつに何故嫌いと言って避けた?」と男鹿に問う

「…は?え…そんなの……言えねぇだろ…好きとか…//」
「……へ?…え…それって…照れ隠しって…え?え?……うそ…?!///」

やっと理解したらしい古市は顔を真っ赤にしている。

「ふん、鈍いな、それにこいつら、誰も男鹿にキスなどしとらんぞ?」
「え?…でも、さっき…」
「それはヒルダさんが古市くんをいじめたかっただけじゃないのかしら;;」
「邦枝先輩…」
「キスなどしなくてもお前らの行動や態度を見ていれば両思いだなんて事はバレバレだ」

蔑むような目で古市を見るヒルダに

「じゃあなんで最初からそう言ってくれなかったんですかー!?」
と問うがそんなの決まっていること。
ただ面白いから。なのだそうだ


「でもこいつらが男鹿を好きなのは本当だぞ」
「…っ!?」


「てかキスってなんの事だよ?」
「なんでもないなんでもない!!」


そんなやりとりの中、ここにいる男鹿と古市以外のメンバーは、みんな
「やっぱり男鹿は古市の事好きなんだな…」
と、いつもの態度見てたらわかるのになんで古市はそこだけ鈍いんだ?
と疑問が浮かんだのだという。




End



おまけ。



あの薬の騒動をヒルダから聞いた男鹿。


「そ…そんなことがあったのかよ;;」

「ヒルダさんもイタズラ好きだよなぁ…;;」

「……でも、そのおかげで…わかったよな…」

「なにが?」

「いや…だから…両思いだって…///」

「へ?!あ…あぁ、そーだな…///」


「………///」

「……//」


「男鹿…あ…あの…今度…どっかいこーな…?//」

「お…おぅ…///」


「バカップルめが」




おわれ。


書いたあとに、これ別に古市が眠るんでもよかったな、古市の方が白雪姫っぽいし…とか思ったが男鹿は泣かないしな
男鹿も古市も鈍感そうです。
てかなんかどっちが攻めなんかわかんなくなったw
おがふるかふるおがどっちか苦手な人には申し訳ない^^;;
どっちが攻めでもいいと思うんだ
男鹿も古市も可愛いまじ天使!!←




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