べるぜバブBL、NL小説

□会いたいなんて
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ふと、目が覚めた
しばらくぼーっと天井を見つめていたが
そのままもう一度眠りにつく事は出来なかった
何故か全く眠れなくなってしまったのだ
ケータイで時刻を見ると、夜中の2時半を過ぎた所だった
疲れて早めに寝てしまった気がするのだが
きっとそのせいで目覚めてしまったのだろう
だが、早めに寝たとはいえさすがに起きるのには早すぎる
再度寝ようと目を閉じるが、全然眠れない


「…ひっ」

…今のは聞かなかった事にしてほしい
窓がガタガタ揺れたのが悪いんだ!

「……………うぅ、」

余計眠れなくなってしまったじゃないか
もう嫌だ
とりあえず暇つぶしにケータイを弄る
(そんな事をしたら余計眠れなくなるのではないかというツッコミは無しだ)


新着メールが来ていたので見てみると、男鹿からの、夕方していたメールの返信だった
別に続ける必要もない内容だったので良いのだが
なんとなく男鹿にメールしてやろうかと思う

「…寝てるよなー」

と思いつつも、メールを打つ

あ い た い

「…って何打ってんだ俺は?!」

アホか!
なんで会いたいなんて
ナシナシ!!今のナシ!!

そう思いメールを破棄しようとしたのだが
画面には送信完了の文字

「え、」

どうやら手元が狂って送信ボタンが押ささったらしい
なんてこった

「い、今の、会いたいってのが送られてしまった…?!」

うおおおおああああなんて恥ずかしい!!!!
会いたいとかアホじゃんバカじゃん!!!

「………………」
ケータイを見つめるも受信メールはない
返信がないのもそれはそれで…って、寝てるよな、たぶん。
遅くても2時には寝てるだろうし
返信待つ方がアホだ、寝よ

あ、なんか今なら寝れる気がする
なんでだろ、さっきまで全然眠くなかったのになー

恥ずかしさとか悲しさとかを押し殺し
やっと寝れる、と思った時

コッ

と音がした
どこからだ?
窓?

コツン

まただ、何かが窓に当たってるみたいな

ゴツン

ん?なんかどんどん音が大きくなってないか?
無視して寝ようかとも思ったがうるさくて眠れないし
気になって窓をちらちら見るけどカーテンを閉めているのでわからない

すごい怖いけど、このままじゃ眠れないし…
そう思い、恐る恐るカーテンを開ける

「…ん?」

カーテンを開けると、石が飛んできて、窓に当たった
この音だったのか
で、なんで石が飛んでくるんだ?
石が飛んできた方向を見ると

「男鹿…?」

男鹿がいた
え?なんでいんの?
つかあいつ、なんかすげーでかい石持ってないか?
もしや今度はあれを窓に当てるつもりなのか?
さすがにあんなのぶつけられたら窓が割れる

「待て待て待て」

俺は早足で、家族を起こさないよう忍び足で玄関へ向かった

「ストーップ!!!」

声を抑えつつ、男鹿を静止する。
すると男鹿は、でかい石を地面に置く
どこから持ってきたんだそんなの

「古市」

そう言って俺の目の前に来た男鹿に、いきなり抱きしめられる

「…な、え、?!」

俺はいきなりの事に、どうすることもできずされるがまま

「お前さ、いきなりあーいうの、やめろよな」
「…へ?」

なに?なにが?
ちょっと理解できないのだが

「な、なに?」
「なんだよ、会いたいなんてメール寄越したくせに」
「…あ」

あぁ、そーか、こいつは、あのメールを見て、そんでわざわざ俺ん家まで、会いに、来てくれたのか

なんだよ、それ

「………馬鹿じゃん」
「なんだとコラ」

そう言いつつも、男鹿は俺の肩あたりに顔を寄せて、くっついてくる。
甘えなのかなんなのか、少し可愛いなって思った。

「…てかなんで窓に石当ててたの」
「ケータイ忘れた」
「はあ?なんで」
「ケータイの着信音で起こされたからムカついたけど、古市からだった上あんな内容だったから」
「いや…あ、あれは…」

なんだか恥ずかしい

「古市がデレたと思って慌てて出てきたからな、なんも持ってきてない」
「ば、ばかじゃねーの、つかケータイ見て急いで来たのにケータイ忘れるのおかしくね?」
「びっくりしてケータイ落としたんだよ、ベッドの上に」
「…アホじゃん」
「うるせー」

わけわかんねー、と笑って
男鹿の頭をわしゃわしゃと撫でる
そしたら男鹿が気持ちよさそうにするから
「犬かよお前」
と笑ってやったら
「俺は人間だぞ?」
なんてアホなのか正論なのかわからん返答が返ってきた


「とにかく、寒いから中入るぞ、あ、みんな寝てるから静かにな」
「おう」

忍び足で部屋へ戻り、ドアを閉める
もう3時近いなと思いながらベッドに腰掛けた
すると男鹿はまた俺に抱きついてくる

「どうしたんだよ」
「古市が可愛くてだな」
「………そ、そう…」

男鹿は、古市がデレた!とか言うけれど
今は男鹿の方がデレデレじゃね?
とか思いながら男鹿の頭に手を置く

「どうした古市」
「いやあ、でかい犬みたいで可愛いなって」
わしゃわしゃと撫でてやると、気持ちよさそうにしながらも
「古市の方が可愛いぞ?」
なんて見つめてくるからドキッとした

「あほか」
「なんでだよ」
「…………別に」
「?」

なんなんだ
犬みたいで可愛いと思ったら
すげえかっけーの
つか会いたいってメールしたらほんとに来てくれるとか
ばかじゃん
こいつこんなカッコイイ奴だったか?

「…って何考えてんだ俺は!!恥ずっ!!!」
「何考えてたんだ?」
「えっ、いやっ、別になんでもっ」
「気になるだろ」

言えるか!!

「も、もう寝ようぜ?」
「………おう」

深く聞いてくれなくてよかった
いつもなら俺が言うまで絶対諦めない奴だが、今日は眠いのだろう、素直にベッドへ潜る男鹿…って、

「おい、俺のベッドだぞ」
「あ?一緒に寝ないのか?」
「……………………」

すごい当たり前の事のように言うから、まぁ、いいかと男鹿の隣へ寝る
すると男鹿は俺にぴったりとくっついた

「…なあ、なんで来てくれたの?普通めんどくさいとか思うじゃん」
「あ?めんどくさいなんて思わねーよ。古市が会いたいっつってんのに、行かないわけねーだろ」
「……………そう」

いやもうさ、ほんとなんなのこいつ
当たり前のように、そんな事を言われたら
誰だって嬉しい


「ありがと、な」
「おう、?」

男鹿は、きょとんと俺を見る
本当に、男鹿にとっては当たり前の事なんだ

「…男鹿、」
「なんだ?」
「…好き」
「…俺もすきだぞ?」
「おう、好きだぞ」
「?おー、?」

ほんとにコイツは、…なんだかなあ、

「…おやすみ、男鹿」
「おやすみ、ふるいち」

最後の方は眠かったのか声が小さくて
言い終わると寝てしまった
そんなに眠かったのか

「ゴメンな男鹿、ほんと、ありがと、」
「……………」

ぐうぐう寝ている男鹿からの返事はないが
男鹿はずっと俺の腕を掴んでいた
そんな男鹿の頭を、わしゃわしゃと撫でると、古市、なんて寝言が返ってきたので顔が熱くなった


「大好きだぞ、男鹿」


会いたいなんて、
(そんなの、お互い常に思ってる事だから)


end

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