べるぜバブBL、NL小説

□このイライラの正体は
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「どうだ、うらやましいだろう!」
「は?」


今は授業も終わり、放課後。
靴を履いてさあ帰ろうという時にこいつは意味不明な言葉を投げかけてきた。


「意味不明なんだが」
「なんでだよ?これ、チョコだぞ?」
「なに、くれんの?」
「やらねーよ!」

なんだよ、甘いもの好きだからくれるのかと思ったのに


「あのなぁ、今日は、バレンタインだぞ!」
「・・・・それが?」

まったく意味不明だぞこいつ


「それが、じゃねぇよ馬鹿男鹿!」
「んだとアホ古市」
「アホじゃない、つかバレンタインだぞっチョコほしいだろ」
「・・・・別に?」
「なんっっでだぁっ!おかしいだろお前それでも男かっ」
「えー・・・まぁ、チョコならほしいけど、だから古市、くれ」
「なんでそうなる、フツー女の子から貰いたいもんだろ?」




・・・そういうモンなのか?



「古市が女好きだからじゃないのか」
「女の子は好きだ、でもフツー男子ならほしがるが・・・お前がおかしいんだな」
「んだとコラ」



別に、女子からバレンタインチョコなんてものをもらいたいなんて思ったことはなかった
でも、何故か。


うらやましくこそなかったが


なんだか




胸が痛んだ。






*****








「あーむかつく」
「なんだよいきなり」



今俺達は俺の家でゲームをやっている
古市の家でもよかったんだが、まぁ、いつもテキトーだし

それにしてもむかつく
なんだこいつ



「むかつく」
「なにがだよ?俺なんもしてない、つかむしろゲーム負けた」
「知るか、むかつく」
「なんなんだよお前、さっきから不機嫌だなぁ」
「むかつくもんはむかつくんだよ」


だけど何故むかつくのかわからない
さっきのチョコほしかったのか・・・
いや、そんな事じゃない
もっと・・・

もっと何か――


「チョコほしいのか?なら買ってやるからー機嫌直せよ馬鹿ーむかつくむかつく言われたらこっちだって―「くれんのかよ」
「え?あぁ、まぁ、別に・・・女子に友チョコあるんだし、おかしくはないだろ」
「あ・・・・」
「・・・男鹿?」
「わかった・・・」
「は?」




わかってしまった
このイライラの正体。



「古市、チョコくれんなら、友チョコは嫌だ」
「え??じゃあ何チョコだよ??」



古市は疑問符を浮かべている
当たり前か・・・


「・・・・考えればわかるだろ」
「はぁ??意味わかんないぞ?」
「・・・・」
「・・・男鹿??」











俺は、古市にチョコもらえるってわかって
嬉しかった

でも逆に
友チョコといわれると嫌だった


古市がチョコを貰ってたのがむかついた
そんなに嬉しいのか・・・と。





つまりこれは・・・




これは・・・







「男鹿?」
「古市・・・・」





俺は・・・


きっとしてはいけない事をしたのだろう






親友、幼なじみ。


そんな関係を、一瞬で壊してしまうような

行為を。












「お・・・が・・・・??」
「・・・・・・」



この気持ちに気づいてしまったから
むかついたから

古市の胸倉掴んで
キスをした

少し乱暴だったかな
とか思っていたけれど


自分でやったコトなのに

こんなにも胸が痛む




古市の顔は
俺の期待通りにはならなかった




きっとこのまま
幼なじみと親友、という関係は崩れていく














「・・・すまん」
「え・・あ・あぁ・・・・・」


古市は、どっかの漫画のヒロインみたいに
顔を赤くして
自分も好きだ
とか言ってはくれなかった

当たり前だけど
そんな想像してた自分が馬鹿みたいだ



「あのさ・・男鹿」
「む・・なんだ?」
「あの・・さっきの・・・・あれって・・・・」
「・・・・・」



やっぱりしなきゃよかったか
と後悔した
どうせきもいとかなんとか言われるんだろうか



とか思っていたら

「あのっ・・えと・・・・・・あんな事して・・・チョコほしいだなんて・・・・・勘違いしちゃうよ?」
「は・・・・」



なんで



なんでこいつは



顔を赤くしているんだろう








「あの・・・男鹿?」
「え・・・あぁ・・・・・??」



普通、男にキスされてチョコせがまれて
顔を赤くするやつがいるだろうか


「勘違いって・・・」
「あっ・・・ごめん・・えと・・・だって・・・・キス、してきた・・から・・あの・・」
「なんで・・・・」
「へ?」
「そんな反応するとか・・・・俺の方が勘違いするっての」
「え?」



なんでそんな反応をする

そんなの、まるで


俺も好き

って言ってるみたいじゃないか




「勘違いって・・・あの・・・・・えと・・・・??」

古市は意味わかんなくなったのか
はてなマークを頭の上にぽんぽん浮かべている。

勘違いするって
先に言ったのはお前だろうに



「・・・男鹿・・・・あの・・・あのキスって・・・どういう意味なの?」
「・・・・・そりゃあ・・・そういう意味だ」
「ふざけてるわけじゃあ・・・・?」
「そんなつもりはない」



「じゃあ・・・・」




古市は
信じられないくらい笑顔で


笑っていた




「好きでも、いいんだ?」



俺はお前を




「・・・・むしろ、それは俺のセリフだぞ」




好きでいいのか






****





「・・・それじゃあ、両思い、だな」
「え・・あぁ、そうだな・・・」


古市は顔を赤くして
そんな言葉を投げかける


本当に

「お前は俺を好きなのか」
「うん、でも、気付いたのは最近」
「・・?」



「女の子にチョコいっぱいもらって気付いたんだ。なんでか、あんま嬉しくなかったから、だから」


「男鹿に渡したかったんだ、俺」と続ける古市




「俺は、お前にチョコ貰えるってわかって嬉しかったから。気付いた」
「そ・・そうなんだ?」


ちょっと照れてるらしい古市




「あのね、チョコ見せびらかしたのはね、もしかしたら、もしかしたら男鹿が嫉妬してくれるかなーとか・・思っちゃった、から」
「案の定、そのおかげで気付いたな」
「・・うん」
「・・・あぁ」





まぁ、お互い無意識のうちに好きで
でもわからなくて
気付いたら辛くて


同じだった
何もかも
好きなこいつと同じで
嬉しかったんだ、俺。





「よかったな、気付けて」
「俺も、よかった・・・・//」
「チョコ、くれるんだよな」
「あ・・当たり前だろっ」
「何チョコ?」



「そりゃあ




本命チョコだろ?//」





そう言いながら古市は
俺の大好きな笑顔を浮かべてくれた




「俺、古市の笑顔、大好きみたいだ」
「うん、じゃあ、いつでも笑ってるね//」
「ああ」




俺は、あの行為のおかげで
親友と幼なじみ、という関係が壊れると思った




「じゃあ、チョコ買いに行こう♪」
「あぁ、じゃあでかいやつな」
「そっ・・そんなおっきいのは無理だよ・・?・・・金ないし・・・」
「嘘。別に古市の愛がこもってればそれでいい」

「はっ・・・///ばか・・・・///ほっ・・ほらっ!買いに行くぞっ!」
「おぅ」



でもそれは違った



「やっぱコロッケくれ」
「えぇ?!チョコだろ」
「じゃあコロッケも」
「どんだけコロッケ好きなんだよ;」
「愛情こもったコロッケ食いたい!」
「は・・//ばぁか・・・///じゃあ、作ってやんよっ//////」
「おぉ!さんきゅ!」
「お・・おぅ///」



むしろ

その関係は


もっと深いものになっていくんだ――






END







おまけ




「古市お前ーコロッケなんて作れるのか」

「うん、作れるよ?一応は・・・美味しいかはわかんないけど」

「チョコは?作れんのか?」

「え・・・まぁ、やればできると思うけど」

「じゃあ作ってくれっ!」

「へ・・?まぁ、いいけど・・・じゃあ材料を買いに行くか・・」

「つか男なのに料理できるとか嫁だな嫁っ」

「なっ・・・・///嫁じゃねぇよっ!」

「はっはっはー」



「まぁ・・・男鹿の嫁にならなってもいいけど///」


「・・・っ//」






おしまい。




なんか古市って料理できそう
男鹿は皆無

なんか石矢魔の人達にチョコ配って惚れられてそう
そんで男鹿が嫉妬して俺のモンだ宣言すればいい








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