空色パズル

□この恋、きみ色
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昔から容量がいい子だねと言われてきた。

見たものをまねてやれば親戚達は大いに私を褒めて頭を撫でてくれたし、自慢の子だと笑う通さん母さんの顔が好きだった。

だから私はできるだけ笑顔をふるまって、自慢のコピーでなんでもできることに満足するフリをしていた。

満足したと笑えば母さんは褒めてくれたし、父さんは豪快に私の頭を撫でてくれたから。

心はこれっぽっちも満たされていなかったのにね


人は慣れてしまえば所詮それまで、人のマネして完璧にやってみせる私をいつしか父さんも母さんは褒めなくなった。

私は、いつの間にかなんでもできる子というレッテルを貼られていた。

褒める両親も消えて私が頑張る意味なんてなくなってしまったけれど、今まで育ててくれた2人の顔に泥を塗るつもりはない。



「頑張るっス!」



いつしか可笑しな敬語が身についていた。――それは、敬語を話せという両親へのささやかな反抗

いつの間にか愛想笑いが上手くなった。――それは、同じように身に付いた人への不信感を和らげる為の虚勢

中学に入ってモデルをやりはじめた。うるさいほど媚を売ってきた他人が増えてストーカーに会う率も多くなった。


うんざりした毎日、模範してしまえば何でも出来てしまうつまらない日々。

そんな時、あの憧れの彼に出会い、魅了された。



「――バスケ部に入れて…入れてくれないっスか!」




長いお話のはじまり、









男子バスケ部に入部して早数カ月。1軍のレギュラーになって私を取り巻く環境はそれなりに変わったと思う。

変わったと言っても、やはり周りに集まってくる人は少なくなるどころか多くなる一方だけれど、バスケができるならそれくらいなんてことない

変わったことは2つあった。まず1つは、勝てない憧れの人ができてくすんだ灰色だった世界に色がついたこと。

その人のプレイだけは見てもマネできない。今まで自分よりすぐれた人を探していたから余計追いかけたくなった。

まあ、追いかけても追いつけないのだけれど。




「黄瀬さん」




事実に苦笑していた時、突然出てきた人影に突然かけられた声。

ぼーっと考えごとをしていた私を脅かすには十分だったらしく、私はドキーンと跳ねる心臓を抑えてバッと振り向く

そこには、私よりほんの少し背が高い水色の彼がいた。



「くっ黒子っち!いつから…」

「最初っからです」

「うそー…」

「本当です」



無表情で淡々と話す水色の彼こと黒子っちは、先程まで練習をしていたからか大量の汗をかいていて、暑いのかTシャツでぱたぱたと顔に風をかけていた。

タオルでも渡したほうがいいっスかね、と黒子っちの顔色を窺うようにちらりと視線を向ければ、黒子っちは私に気付いて小さく微笑む。

滅多に見ることができない黒子っちの微笑みにバクバクとなる心臓を抑えつつ、顔が赤いのがバレないように下を向く。

すると、シャツをぱたぱたとするたびに見える黒子っちの色白のお腹に、心臓が破裂しそうなほど音をたてる



「黄瀬さん?」

「えっ!?あ、タオル!タオルとってくるっス!!」



赤い顔を隠し逃げるように黒子っちに背を向けて、黒子っちのタオルが置いてある場所まで全力でダッシュする。

黒子っちの所に戻るまでには顔の赤みが引いていますようにと黒子っちのタオルを握りしめながら祈るように願った。


もう1つは、初めて本気の恋をして、自分でも知らなかった感情をとことん思い知りました

慣れない恋愛にからまわりも沢山するけれど、まあそんな生活も悪くないってことっス!




この恋、きみ色

  (好き、好き、大好き!)



始まりました黄瀬成り代わり連載!ついに…ゴクリ……題名は、確かに恋だったさまから色々おかりしていこうと思います
これから応援よろしくお願いします!


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