短編2
□うんざりするほど好きでした
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レンはとっても寂しい人なんだと思う
毎日毎日、好きとか愛してるとか心がない台詞のような愛を囁いてぽっかり空いた穴を埋める悲しい人
「レディ?どうしたんだいボーっとして」
そんな愚かで悲しい人を愛してしまったあたしはもっと愚かなんだろう
レンの愛を手に入れようと必死でもがくあたしはさぞ滑稽なんだろう
まあ、そんなことどうでもいいけど。
「なんでもないよ」
愚かで滑稽なあたしはレンのそれなりの存在になれたのか。または普通なのか。
そこはまだわからないけど、レンの周りにいる女達よりは仲がいいと思う
それはただの自惚れかもしれないけど。
「それより練習はいいの?七海さん、だっけ…彼女待ってるんじゃない?」
「ああ、今日はレディとの約束があったからね」
そう笑いながらあたしの髪にキスするレンに胸が小さくきゅんと音を立てる
その後、七海さんに勝った、七海さんより私を選んでくれた、そんな小さな優越感があたしの胸を満たした
でも、とふと考えてみた。
もしあたしが七海さんの立場だったら?それでもレンはあたしを選んでくれた?
それを想像してみるとそれはとてもいい気分になれるものじゃなくて、あたしは小さく眉を潜めた
そんなあたしに気付いたレンは細く綺麗な手であたしの頬を撫でた
「やっぱり少し顔色が悪いようだ、今日はもう」
「大丈夫。」
今はこれでもいいかって思うあたしは、レンに相当溺れてるんだろうなって頭のどこかで考えた