短編3

□無意識じゃいられない
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いつからだろう。どうしようもなく彼を構いたくなったのは。



「御狐神くんっ授業のここがわからなかったんだけどぉ…教えてもらってもいい?」

「いいですよ」

「あーズルい!私も!」



キャーキャーと猫撫で声を出して綺麗な愛想笑いを見せる彼に群がるクラスの女の子達。

またか。はあ、と溜息を吐いても彼を見ることにしか興味がない彼女達は聞こえてなどいないだろう。

彼の周りに女の子が群がるのはそれはもう仕方ないことだろう。仕様だ、仕様。

なんせ彼は顔もいいし頭もいいし愛嬌もある。教師からも期待されているようだし、何よりあの青鬼院家にお世話になっているらしい。

そりゃ女の子の興味も引くに決まってる。完璧も完璧で辛いものもあるんだろうなあ



「ねえねえ御狐神くんっ今日何か用事とかある?よかったら…」

「ちょっと…抜け駆けでもする気…?」

「御狐神くんここもわかんないんだけど…」

「ああ、そこは…」

「ちょっとっ」



あーあーまたやってる。彼、御狐神くんの取りあい。まだ字が書かれている黒板を眺めながら持っていたシャーペンをくるっと回す。

そういえば友達が「アンタ苛々してるとき必ずペン回しするよね」って笑っていたような気がする。

やっぱり無意識にやってたのかこの癖。そんな自分に苦笑いしながらチラッと御狐神くんの方に視線を向けてみる。

相変わらずわけのわからない笑顔を浮かべてキャアキャアと騒ぐ女子に囲まれている御狐神くん

彼らから視線を逸らして、時計を見るともうすぐ次の授業が始まる所だった。丁度いい。

ガタッと椅子から立ち上がり、群がる女の子の後ろの立って丁度目の前にいた女の子の肩をとんとん、と叩く。



「何よ…って!?」

「もう質問終わったよね?もうすぐ授業始まるから席についた方がいいんじゃないかな?」



まあ、なんていうか、つまり媚売ってないでさっさと席に付けってことです。

私の笑顔を見てすすすと下がって文句を言いながらも自分の席についていく女の子たちを見届けて小さく溜息をつく



「大丈夫だった?御狐神くん」

「はい。いつもありがとうございます」

「ううんいいよ別に」



ふわりと笑う御狐神くんに胸が高鳴る。私も下心がないわけではない。一目ぼれ、というわけではないけれどいつの間にか好きになっていた。

目で追ってしまうし、何かあれば話しかけたいと思う。まあつまり、あの女の子達と一緒なのである。



「まあ、何かあれば委員長である私に頼んじゃってくださいな」



片方ずつ色が違う彼の瞳。なんだか全てを見透かされてしまいそうで、少しだけ怖かった。

それを隠すようにへにゃっと笑ってああ言うと、御狐神くんは「そうします」とやっぱりよくわからない笑顔を浮かべた。

なんだかソレが気になって私はぼーっと見つめながら彼の頬にぷすりと指をさす。

おお、柔らかいし綺麗。小さな歓声を漏らしながらつんつんと頬を突く私に御狐神くんは少しだけ照れたような顔をした。

あ、



「あの、」

「えっあっご、ごめん…ただ御狐神くんいつも愛想笑い浮かべてるから突いたらどんな反応するかなあと思って…」



え?とでも言いたげに目を見開く御狐神くんに申し訳なさと恥ずかしさで顔が熱くなっていく。

しなきゃよかった。そう思うと気まずかった雰囲気に拍車がかかったように余計気まずくなったような気がして頬をかく

そこにガラッと空気を壊すように教室のドアが開いて、先生が教室に入ってきた。そして辺りを見回し「委員長ー!」と私を呼ぶ声が聞こえた



「あ、ごめん。先生呼んでるから行くね!頬の事もごめんね!じゃあ」

「あ…」



私は、甘え上手でもないし御狐神くんに群がってた女の子達みたいに可愛くもない。

だけど少しくらい意識してくれたらなーなんて、先生に頼まれた教材を運びながら1人そんなことを思って1人頬を緩めてしまったり



「何笑ってるんだ?」

「思いだし笑いです」

「そうかー青春か?」

「先生やめてください」

「顔赤いぞー」




無意識じゃいられない

  (きっと夢中にさせるから)


わけがわからないよ\(^o^)/本当に毎回わけのわからない文で申し訳ないです

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