短編3

□グラスに花を加える話
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幼馴染の定義とはなんだろう。



「なんだと思う?」

「突然ですね」

「そういう性格って知ってるでしょ?」



くすくすと笑って入れてもらったコーヒーを飲むとと机に座って背筋を伸ばし本を読むトキヤはそれを一瞥して小さくため息をついた。



「今まで散々貴方の突然に巻き込まれてますからね」

「流石親友」

「黙ってください」



親友と幼馴染じゃどう違うんだろう?私とトキヤの関係はその2つが入り混じったようなものだった。

小さいころから両親同士が仲良しで自然と私とトキヤも仲良くなって、その糸は途切れることなく続いている。

好きなものも嫌いなものも全部全部わかっている関係。でも恋人じゃない。



「難しー!」

「ちょっと黙っててくれませんか」

「昔はこんなんじゃなかったのにーどうしたの」

「何もありません。黙れといったんです」

「トキヤが黙れって言った。おばさんに電話しなくちゃ」

「待ちなさい」



母は強し。本にしおりを挟んでわざわざ私の隣に移動してくれたトキヤに少しの申し訳なさを感じながらコーヒーに口をつける。



「あっつ」

「ああ全く!気をつけなさいといったでしょう」

「言ってない」

「2日前に言いました」

「おかんか。」



トキヤのルームメイトである音也は私たちの会話を聞いて「兄妹か」と言ったことをふと思い出した。

むむむ、やはり難しいでござる。



「幼馴染か親友か兄妹か」

「……また馬鹿なことを」

「馬鹿っていうなよおかん」

「怒りますよ」

「母と子か」

「話を聞きなさい。」



パチンッとトキヤが私のおでこにデコピンをした。ヒリヒリします。



「仕返しである!」

「なっ!?」



ガバッとトキヤに抱きついてわきをくすぐるとトキヤは弱いのか「やめなさい!」と笑いながら訴えてくる。

しめしめ、いつもやられる仕返しなのでやめるわけにはいかないわ!とくすぐるスピードをあげる。



「やめなさいっ!」

「痛っ!!」



拳骨がお見舞いされた頭を抱えてうずくまると、なんとか息を整えたトキヤが私の頭をくしゃりと撫でた。

ツンデレでプライドが高いトキヤは自分が悪いと思わないと謝ることをしない。

だけど、申し訳ないと感じるとトキヤは相手の頭を撫でる癖があった。



「別に私達の関係に名前なんてなくていいと思いますが」

「…そーかね?」

「欲しいんですか?」

「………んーにゃ、やっぱいらない」



トキヤが私の大切な人ということに変わりがなければ、トキヤにとって私が大切な人ということに変わりがなければ

私はそれでいいや。

そう笑うとトキヤも珍しくふわりと微笑んで今度はさっきよりも優しく頭を撫でてくれた。


トキヤがそばにいればそれでいっか。




「もう何回目でしょうねその答えに行きつくのは」

「さー…3回目?」

「5回目です」




グラスに花を加える話

  (きみがすきだよ)


ナンジャコレェ(´Д`)…

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