短編1

□真実は笑顔の裏側
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わたしはなにも知らなかった。臨也が何もしらなくていいと言ったから

知らないからといって不都合がある訳でもないし、臨也の言う事は正しいからわたしは首を縦に振った

そんなわたしがせめて、知っているとすれば本で読む事と秘書の波江さんが教えてくれる事。


「いってらっしゃい臨也」

「いってきます」


ちゅっとわたしのおでこにキスをしてマンションから出ていった臨也を一瞥した後

いつも臨也が座って仕事をしている椅子にクッションを抱きながら座る


たまに、顔に傷を作って不機嫌で帰ってくる臨也。

そんな時、わたしは必ず思う事がある。

”本当に何もしらなくていいのか”と。こんなわたしでも思う事はある

臨也が何の仕事をしているか知らないし、臨也が波江さんに何を言っている事も理解できない


「…いざや」


私はただの置き物、人形なんじゃないかって考える事も少なくは無い

でも、臨也はそんな私を見かねて「何もしらなくていい」って笑ってくれる。頭を撫でてくれる

こういうとき、不安は消えて違う事を私は思うのだ


ああ、好きだ。って



真実は笑顔の裏側

(私は何もしらない)(それでいいんだ)

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