短編1
□あの子になりたい
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羨ましいと妬み、あの子になりたいと強く強く思った
可愛くて優しくて天然のドジっ子、それだけでも十分なのに作曲の天才とまできた
頭も顔も作曲さえも普通なあたしに勝ち目なんか全然ない
羨ましいなんて思っても人見知りのあたしにアイドル同然のあの人に近づく事なんてできるわけがない
そんなことできた日には、自分を凄く凄くほめたたえる事だろう
「………いいなあ七海さん」
可愛い友達もいてクラスの人気者の一十木たちとお話できて…羨ましい。
噂ではSクラスの一ノ瀬さんや神宮寺さん…そして来栖君たちとも仲がいいと聞いた
――優しいし優しいし可愛いし優しいし可愛いし可愛いし天才だし女神じゃん
この挙動不審と人見知りを直してみんなと仲良くなりたいなあ
そんな切望を抱きながらあたしは机から紙とシャーペンを取り出し作曲をする
「七海!これから翔とサッカーするんだけどよかったら来ない?」
「あ…行きます!ちょっと待ってて下さいね!」
ああ、もう
あの子になりたい
(叶うはずのない幻想を)(あたしは思い描くのです)