短編1
□インク切れのペンで綴る「愛してる」
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初めは本当にちっぽけな想いだった。
だけど、だんだん関わっていくうちにその想いはどんどん膨らんでいって
もう、自分では抑えきれないくらい私は彼を好きになっていった。
彼が私の名前を呼ぶたび、私の心臓は張り裂けそうなほどドキドキして
嬉しかった。
「好き、…好き…す、き……紀、田くん…」
私のこの思いを言葉にしてみても、消えることはなくて、むしろもっと溢れてくる
本人がいなくちゃ、意味なんて無いのに。それでも私は何度も何度も言葉を紡ぐ
足りない、足りない。私の愛はこんな言葉で表せるものじゃないのに
「好き…です…っ…愛して、ます」
何度も何度も何度も何度も何度も、壊れたテープのように同じことを繰り返す
まだ、足りない。
そうして、私はそっとノートの端に、ある言葉をのせたのです
インク切れのペンで綴る「愛してる」
(臆病者の)(恋でした。)