シルバーi

□ゲームスタート!!
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2035年12月23日0時00分

クリスマスに合わせてBCPが発売された。
BCPとはBrainControlPlayerの略称だ。
その名の通り脳をコントロールして遊ぶという次世代ゲーム機である。
ゲーム機と言ってもボタンは電源だけで他は全て意識で操作する。
また脳をコントロールして映像を見せるためディスプレイはない。
見た目はバイクを乗っている人が被ってそうな顔がすっぽり入る形をしている。
発売会社のSOMYいわくゲームをするために必要だかららしい。
発売当初、一部の人は脳をコントロールすることに不安を感じていたが、しばらくしても使用者に害がないため薄れていった。
当初は発売日に並んで買うこともできる予定だったが、予約数が多過ぎたため出荷が追い付かず発売日からしばらくは予約者にのみ商品を売ることになった。
そしてこのゲーム機は世界で10億シェアというかなりのヒット商品となった。



2035年12月23日8時46分

「やっと買えたよー。予約してたのに待たせるなんてこの店酷いなー……」
17歳の少年、近藤正広は愚痴をこぼす。
正広もBCPを予約していたのだ。
「いやぁ〜、しっかし朝5時から並んだ甲斐があったもんだなー」
まだ店にはまだ並んでいる人がいるにもかかわらず
「本日は在庫切れのため予約していたお客様は明日ご来店下さい」
とすでに走り書きした紙を店のドアのところに貼ってあった。
それを見て今来た客は残念そうに来た道を引き返していく。
「さぁ、俺も帰ってやるか」
正広も帰り出したのだった……





ゲーム機をインターネットに接続している間に俺はゲーム機の説明書やら一緒に買った「シルバーi」の説明書を読んでいた。
シルバーiはBCPの発売と一緒に出たまだBCPでは唯一のゲームでかなり敵を銃火機を使って倒していくというゲームで敵はインターネットにより同じゲームをリアルタイムでプレイしている人だ。
キャラクターはゲーム機が勝手に顔をスキャンし、かなり細かいところまで再現するらしい。
『ピピッ』
そうしている間にインターネットに接続できたみたいだ。
「よしっ、じゃあやるか」
ソフトを引っ張り出す。
ソフトと言ってもカードで一度インストールしたらあとは不要だ。
ソフトは一本あたり5テラバイトくらいあるみたいだ。
ソフトを慣れない手つきで側面にあるカードリーダーに差し込む。
そしてBCPを被ると映像や音声が流れて来た。
『インストールしますか?』
「はい」
『インストール中』
しばらくすると
『完了しました』
とアナウンスされた。
よし、じゃあやるか、、、
(シルバーi起動)
強く考える。
すると―――
『シルバーi起動中』
おおー……スゲー。
『Now Loading...』
ゲームお決まりの文字が流れる。
そしてスタート画面が出る。
(ゲームスタート)
『新しいセーブデータを作っています』
『顔をスキャン中』
『声の認識。画面に表示された文章を読んで下さい』
『あいうえおかさたなはまやらわをん』
「あいうえおかさたなはまやらわをん」
読み上げていく。
『設定完了』
『ゲームスタート』
『―ルール―
・基本的に現実と同じで前に進もうとすれば前にジャンプしようとすればジャンプをします。
・内臓、急所によって攻撃が当たった時のダメージが変わります。
・よりリアリティを演出するために仲間にもダメージは与えられます。
・武器はショップで買うことが出来ます。また仲間に武器をプレゼントしたり戦場で交換したりすることも可能です。
※その他細かいルールは取り扱い説明書をご覧下さい。
※注意:これはあくまでゲームです。現実で殺人をしないようにしましょう。またこのゲームによって犯罪行為があった場合、当社は一切の責任をとりませんのでご了承下さい。』
現実とゲームを一緒にするほどゲームをするつもりもないが注意書きは頭の隅に置いておくことにしよう。
武器の欄を見ると初期のしかなかったため特に変更はない。
次はゲームスタートだが……
ステージが一つしかなかった。
どういうことだ?
ヘルプを開く。
『ステージは世界そのものです。最新の衛星から地球をスキャンしてステージを作成したためかなりリアルなはずです。ゲーム開始位置はBCPに内蔵されたGPS機能により今あなたがいる場所からです。ルールは簡単。プレイヤーは自動的に二つのチームに別れます。そして仲間と一緒に敵を倒すのです。一度死ぬとその日は復活できません。さぁ、あなたも今すぐゲームスタートっ!!』
これはすごい。
じゃあ―――
(ゲームスタート)
『準備中...』
『Now Loading...』
しばらくすると―――
『Start!!』
ゲームが始まった。





「ここは……」
そこは今までいた部屋だった。
しかし違うのが一つ―――
手に銃を持っていた。
「ホントにそのままだな。」
手に持っている銃のヒンヤリとした感触まで再現されているのだ。
よし、まずは……
家をゆっくり出る。
辺りに人はいない。
と、その時―――
「よぉ、近藤」
あらぬ方向から声がした。
家の屋根を見ると……
同じクラスメートの吉川だった。
「吉川っ!お前もシルバーi買えたのか!?」
「あぁ、朝の2時から並んで買った」
「………」
まさか俺より早く並ぶ馬鹿なやつがいたなんて……
「ところで……降りてこいよ?もうわかったから、かっこよかったから……」
「っ!!………ありがとうよ親友っ!!」
親友にまでなった覚えはないが……
「ってか奇遇にも同じチームだな」
「そういえばそうだな、これからは二人で行動しようぜ?」
「俺もそうしたいな」
「じゃあ早速ちょっと探検しようぜ?俺ちょっとこの辺うろうろしてたから案内してやるよ」
おぉー、それは心強い!!
「頼む」
「よしっ、俺についてk―――」
『パァーンッ!!』
『バタン』
………
「えぇぇぇぇーーーーーっっ!!!?」
吉川は―――


頭を撃ち抜かれていた。
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