キミがいた。
□09
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「シンドバッドさん、あの人は…。」
「煌帝国の神官補佐≠セ。」
「…!!」
09 女神の実力
「っ、彼女を止めなければ…!」
「ダメですシン!怪我を…!!」
まただ。
このままでは、先ほどのように、
けが人が出る。
あのジンは危険だ。
それに――…。
「…ジュダル、借りるよ。」
「飛んだっ!?」
「浮遊魔法=c!彼女も、マギ≠セったのか…!!」
先ほどの、アラジンのジンの熱魔法をも防いだ氷。
絨毯もないことから、ここまでその浮遊魔法で飛んできたのだろう。
…あのジュダルでも、長距離を飛ぶのは難しい、浮遊魔法で。
(…彼女は、一体……。)
どれほどの力を持っているのか。
彼女のことは、煌帝国の神官補佐≠ナあることぐらいしか知らない。
『ほら、コイツは新しく入った神官補佐=Aアルシエルだ!』
ジュダルのあの様子と、
色違いの腕輪と首飾りから、
ジュダルは彼女のことをすごく気に入っているのだろう。
美しく長く伸びた青い髪は、
その子の美しさを引き立てていた。
ジュダルが黒い太陽ならば、彼女は、青い月≠ニ言ったところだろうか。
「あっ、アレは…!!」
アリババくんの声に、思考を現実に戻すと、
彼女は先ほどのジュダルと同じく、
大きな氷をつくり上げた。
…彼女も、氷魔法が得意なのだろうか。
「サルグ・アルサーロス」
「!!?」
「ウーゴくん!!!」
彼女がつくった氷の槍が、鋭く降り注ぐ。
ジュダルと同じ技だが、少し違う。
槍は、ジンにしか降り注がないのだ。
どうやら彼女は、槍を落とす場所をコントロールできるらしい。
しかし、それでも一度は受けた技。
ジンは、ジュダルの時と同じように、
氷の槍を腕で割り、防いだ。
「…ラ ラルム デュンヌ ルサールカ」
彼女がそう言うと、ジンの頭上に水の玉が現れた。
ジンは、その水の玉も手で振り払い、防ごうとしたが、水だ。
その行動も意味もなく、ジンは全身に水をかぶった。
(…ただの水か。)
少し安心していると、彼女はまた別の魔法を作り出した。
「フードュル」
(雷魔法!!?)
気付いた時にはすでに遅い。
全身に水をかぶったジンの真上から稲妻が。
純水でない限り、水は電気をよく通す。
つまり、ただ雷魔法で攻撃するよりは、
水をかぶらせておき、それからさらに雷魔法で攻撃する方が、
相手に負わせるダメージは大きいのだ。
「…丈夫なジン。」
それでも、ジンは倒れなかった。
彼女の攻撃で、かなりのダメージは受けたようだが、
まだ魔力は残っているらしい。
「オプスキュリテ=クリスタリザシオン」
「!!?」
闇と…氷!?
どうやら彼女は、複数の魔法を同時に使うことができるらしい。
黒い氷の槍は、ジンの胸を突き破った。
――to be continued…
(冷たい瞳で笑う彼女を恐れながらも)
(その美しさに捕らわれて、目が離せない)