キミがいた。

□拝啓、キミへ
1ページ/1ページ




なんか眠いな。


仕事も終わり、夕食まで時間がある。
紅玉たちはなんだかいろいろ忙しそう。

私は暇だった。


だから、自室に向かい、
少し睡眠をとろうと、布団をめくった。

すると、なんということだろう。



「…ジュダル?」



ジュダルがすでに私のベッドですやすやと寝ているではないか。



「はぁ…。」



何と自分勝手なことだろう。

ジュダルは、普段からやたらと私に絡んでくる。
それは、私がマギだからなのか、それとも…。



「…男のくせに、肌きれい。」



プ二ッ、と寝ているジュダルの頬をつつく。

肌きれいだし、色も白いし。
この長い髪だって、すごくサラサラ。



「…こうやって黙ってるとカッコいいのに。」



いつも嫌がらせしてくるし、罠に引っかかった私を見て嘲笑ってくるし、
やたら戦闘狂だし、性格悪いし。

最悪な奴だけど、



「カッコいいんだよなぁ…。」



ふと、ジュダルのルフに意識がいった。

ジュダルは堕転しているため、私と違って黒い。
だからジュダルも黒く身を染めている。


ギュ、とジュダルの周りをはばたくルフをつかんでみた。
一瞬、私の白いルフの影響で白が混じるけど、
またすぐに黒に戻った。


こういう瞬間、なぜかジュダルが遠く感じる、
というか、ジュダルとの距離が遠いと感じる。


黒と白は正反対なのだと。
白と黒は相容れぬのだと。



「ジュダル…。」

「なんだ?」



独り言なのに、返事が返ってきたので驚いた。
ジュダルはもうすっかり目を覚ましているではないか。



「相変わらず、お前のルフは白いなー。」

「そうね。ジュダルとは正反対…。」



ジュダルも、先ほどの私と同じように
私のルフをギュ、とつかむ。

やはり、一瞬黒くなるが、また白に戻る。



「…なぁ。」

「どうしたの?」


「何かの反対≠ェあるから、それがあるって考えたことねぇ?」

「…え?」



何かの反対があるからそれがある…?
どういう意味だろうか。



「だからー、俺たちだったら、お前の白いルフがあるから、正反対の俺の黒いルフがあるんだよ!」

「意味は分かったけど…なにが言いたいの?」

「白いルフのお前がいるから、黒いルフの俺がいる、だからお前がいるから俺がいるんだ!!」



…ジュダルは、私の心が読めるのだろうか?



拝啓キミ
想いを込めた心の中の手紙を、受け取って
 

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ