キミがいた。
□謝肉宴の夜
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――アルシエルが目を覚ました日の夜、
シンドリアにて――…
シンドリア王国国王であるシンドバッドは、
アリババ達に煌帝国の皇子の留学を話していた。
「煌帝国の皇子様…。」
「どんな方なんでしょうね。」
アラジンとモルジアナは、
大国の皇子と聞き、あまりピンと来ていないようだ。
「…ああ、シン様、煌帝国といえば…。」
傍で話をきいていたジャーファルは、
あるコトを思い出した。
「バルバッドでお会いした、紅 玉姫と話はつけてこられたのですか?
少なくともあちらは、あなたのことを、その、
とても思い慕っているように見えましたが。」
ジャーファルは、気をつかって言ったようだが、
シンドバッド以外にはどういうことかバレバレだ。
「そうだったかな?」
「お主はまたそれか。」
しかし、疑問形で返してきたシンドバッドに、
ドラコーンは呆れる。
「皇女様かァ、王サマうらやましいですねぇ!」
すると、そばにいたシャルルカンが声を上げた。
「煌帝国はいけ好かねぇが、煌の女は美女揃い≠チていうウワサに違わず、あそこはいい女が多かった!
そこの皇女様となら、俺も一晩ぐらい遊んでみたかったなァ。」
シャルルカンの言葉に、隣にいたヤムライハは冷たい目で見ていた。
「…美女か。そういえば――。」
「アルシエルさんキレイだったねーっ!!」
シンドバッドの言葉を遮り、アラジンはだらしない顔でそう言った。
アラジンの言葉に、
アルシエルを知っているメンツは彼女の姿を思い浮かべ、
皆一斉に、コクリと頷いた。
「へぇーっ、そんなにいい女なのか!」
ジャーファルやマスルールまでも頷いたため、
シャルルカンは興味津々だった。
「うんっ!アルシエルさんはお顔も髪もすっごく綺麗で、それで〜、うふふっ。」
ニヤニヤ もじもじ デレデレ
そんな擬態語が、今のアラジンには似合うだろう。
アリババをはじめとする、
その場のほとんどが、アラジンが何を考えているのかわかった。
「会ってみてぇーなーっ。」
「…鼻の下伸びてるわよ、変態。」
「あ゛!?誰が変態だ!!」
「…アルシエルさんとジュダルくんって、どんな関係なんだろうねぇ。」
「なんか、すっげぇ仲よさそうだったよな。」
――その日の謝肉宴は、より一層盛り上がりました。