キミがいた。

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「アルシエルーっ!」

「…なんですか、シャルルカンさん。」



先日、南海生物を倒してからというもの、
なぜかシャルルカンさんがよく訪ねてくるようになりました。





23 女神を想う代償





「シャルルカン…?ああ、八人将とかいう…。」



――私はいま、紅玉の部屋で、お茶を飲んでいる。
彼のことを相談すると、
紅玉はなぜかため息をついた。



「アルシエル…。あなた本っっ当に気づいていないのぉ?」

「え…?」

「アルシエル殿こそ本当の鈍感なのであります。」

「えっ?夏黄文さん!?」



意味が分からない。
気付いてないって何を?

どうして私が鈍感なの?



「失礼いたします。」

「どうぞぉ。」



すると、ジャーファルさんがやってきた。
表情はどこかげっそりしているように見えた。



「今夜は謝肉宴です。それをお知らせに来ました。」

「今日ですか?」


「はい。本当はアラジンたちが帰ってきたら、だったんですが…思った以上に帰りが遅くて。」



つまりは、肉が腐る前に。てことですか。

ジャーファルさんは一礼して、部屋を去っていった。




「謝肉宴…。」



どんなものなのだろう。



「楽しみね、こうぎょ…。」

「ふふふっ…。」



紅玉の方を向くと、
明らかに何かをたくらんでいる紅玉の顔があった。



「えっ、なにどうし…っ!!?」







「アルシエルー?もうすぐ始まるぜー?」


「あっ、はい…。」



シャルルカンさんがわざわざ呼びに来てくれたため、
少々不安げに扉を開けた。

…背後にいる紅玉はものすごくニヤニヤしている。



「はやく…行かねー……と………。」

「…?」



するとシャルルカンさんの表情が固まり、
言葉もだんだん消えていった。



「っ!?なんだ、その格好!?」



と思ったら、顔を赤くして叫んだ。

…その格好、とは、謝肉宴で女性が着るらしい衣装のことだ。
脚やお腹の露出はもちろん、
少々胸も気になる。



「に…似合いませんか…?」

「い、いや、すげぇ似合ってっけどよぉ…その…。」

「…?」


「な、なんでもねぇ!じゃあ俺行くわ!!」



…どうしたのだろうか。
そんなに謝肉宴に行きたかったのだろうか。



「ふふっ、楽しいわぁ。」

(…あそこまで鈍感だと彼が不憫であります。)


――to be continued…






(代償1:その美しさに惑わされます)
(代償2:少しのことでは気づきません)

 

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