キミがいた。

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「おい、シンドバッドの奴魔装≠披露しようってのか?」



八人将の一人、ヒナホホさんの言うとおり、
ここには煌帝国の神官補佐である私や、
夏黄文さんをはじめとする部下たちがいる。

紅玉に関しては、
魔装≠セけならばお互い五分五分と言える。

しかし、シンドバッドのことだ。
きっと…いや、必ず――…。



「シンに任せましょう。何か考えがあるようです。」




「我が身に宿れ、ヴィネア!!」

「我が身に宿れ、フォカロル!!」





32 実力者たちの宴





「飛んだっ!!?」



紅玉とシンドバッドは、
全身魔装をしたあと、
二人共高く飛び上がった。



「はああっ!」



大きな武器を活かして、
紅玉はシンドバッドに攻撃する。

でもそこはシンドバッドだ。
風でうまくかわしていく。


…いや、それよりも。



「紅玉、楽しそう…。」



きっと、
ここまで思い切り戦える相手はいなかっただろう。

紅玉は、武人として才能がある。


私がそんなことを思っているうちにも、
二人の戦いは勢いを増していく。



「ば…化物だ……。」



もはやこの戦いは、
人間の技ではない。

周りにいるものは、唖然としていた。



「すごい、すごいっ!!私、こんなに思い切り戦うの初めて!!」

「それは何より。だが、まだ全力を出せるはずだ!」


「極大魔法…!?しかし、こんなところで使っては…!?」

「私が受け止められないとお思いで?」



――やはり。
シンドバッドの狙いは…。



「…よくってよ……。」

「紅玉っ!極大魔法は…!!」



私の静止の言葉は、
紅玉には届かず、紅玉は極大魔法を撃つ態勢に入ってしまった。



「悲哀と隔絶の精霊よ…汝が王に力を集わせ、

   地上を裁く大いなる激流をもたらさんことを!!」



――ドクンッ



紅玉がそう言うと、
静かだった海が荒れだし、
巨大な津波を引き起こした。



「これが……。」



魔装ヴィネア…紅玉の力!!





ヴァイネル・ガネッザ!!!





大きな津波は、
このままではシンドリアを飲み込んでしまう…。

止められるのか…?





フォラーズ・ゾーラ!!!





シンドバッドは、
竜巻を二つ起こし、
津波をなんとかしのいだ。

だが…。



「今の技…海上戦でくらえば、シンドリアの船団は一撃で壊滅だぞ…!!」



極大魔法…。
まさか、ここまでとは。



「受け止められてしまったわ。でも私、まだ戦えましてよ!!」



海のルフから力を集めているせいか…。
極大魔法を撃ってもなお、余力があるとは…。



「我が身に宿れ、ゼパル!!」


「なっ…!!」



2つ目の魔装を…!?
一体、何をするつもりだ…。



「アリババくん……。」

「えっ!?」


「ゼパル≠セ!!」

「まずい、あれ≠やる気だ。」



あれ=c?
シンドバッドは、アリババになんと言った?
なぜ、アリババにだけ?

シンドバッドは、
私がここにいるのも知っているはずだ。
シンドバッドが紅玉を誘った時、
私は紅玉の隣にいたのだから。

物理的攻撃であれば防壁魔法でなんとかできるが…。

もし、音魔法だったら?



「これでっ…!終わりよ!!!」



紅玉が武器を構え、
シンドバッドへと向かう。

対しシンドバッドは息を大きく吸った。

息を…。
ならばもしかして…!



「ボイド・ウェフダー!!」



咄嗟に、魔法で私の周りを真空状態にし、
音が伝わらないようにした。

一瞬のことだったが、
魔法を受けた紅玉と夏黄文たちは、
眠ってしまっていた。



「こ…紅玉さん、どうしちまったんだ!?」



シンドバッドが言ったのは、
耳をふさげということだったのか。

頭が痛そうにしているアリババを見ると、
魔法で塞いでいてよかったと思った。



「眠る≠謔、に彼女の精神に語りかけたんだ。これがゼパル≠フ力だ。」


「……!?」



私は、シンドバッドの言葉を聞いて、
あるひとつのことが思い浮かんだ。


――そうか、
これが戦いを持ちかけた本当の目的…!



「彼女の精神に語りかけたんだ。」


――to be continued…



(一体、誰が)
(その男の企みに気づくのか)

 

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