novel
□Cinderella star@
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魔法使いは、ステキな魔法を2人にかけた。
[Cinderella star]
やっと咲き始めた桜が、春風に吹かれて散り始めた。
去年よりかなり遅かったな…
アスランは公園の並木道の桜を見上げた。特に好きだというわけではないが、桜は数少ない思い出のひとつだった。
この国の企業のトップに君臨する世界的企業「SEED」。最先端の技術を用いての環境事業に世界が頼っている。創立者は名家の4人ーアスランはその曾孫にあたった。
桜は多忙な両親との、数少ない思い出だった。
物心のついた頃には、すでに独りで暮らしているようなものだった…
バサッ
突然眩しいくらいだった並木道が闇にかわった。
驚いて顔に覆い被さった布をとってみると、ブレザーの上着だ
「悪い!大丈夫か!?」
少し低めの声が聞こえ上を見上げると、
「子猫が木から降りれないんだ。受け取ってくれないか?」
目がそらせなかった…
蜂蜜色の髪を肩まで伸ばし、トパーズをはめこんだような瞳は、大きくて吸い込まれそうで間違いなく誰もが振り向きそうな容姿だった。