novel
□Cinderella star B
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「アスラン、お前の婚約が決まったぞ。」
父親は暑さで頭がおかしくなったのか?
アスランは耳を疑った。
夏休み間近の7月下旬ー
突然オフィスに来るように父から電話があった。
街中にそびえ立つSEED本社…さすがエコを売りにしているだけある。寒いくらいのオフィスが多い中、この本社は冷房の温度が高くちょうどよい。
いつか自分もこの最上階のイスに座る時がくるのか…
未だ実感がわかぬままアスランはエレベーターの外の景色を見下ろした。
「父さん…もう一度言ってくれませんか?」
アスランは状況が呑み込めずにいた。
「お前とベティ・ローグとの婚約が決まったと言ったのだ。近いうちに会食を予定している」
唖然とした…。
つい先日ローグの会社でノーベル賞級の発明をした社員がいた。その新しい技術を得るため、どこの大企業も我先にと、ローグとの提携を試みた。SEEDもその一つだ。もし、ローグが他の企業と手を組めば、世界のトップに君臨するSEEDの地位も危うくなる。
それを知り、ローグが婚約を仕掛けてきたのだ。
その内にはベティの強い要望があったのだか…