アタシは姉貴に会うまでに随分汚れたと思う

そうでなきゃ 生きられなかった

そうでなきゃ とっくにくたばってた

そうでなきゃ

アタシよりも汚れたアイツを追いかけられないと思った

だから姉貴を探して、居場所を突き止めて

会うことに実際、躊躇ってたんだ

こんなに汚くなったアタシを見て

姉貴は嫌いになるんじゃないかって

アイツに似てると言われたその日から

アタシの中で暴れる夜兎の血は

騒ぎ続けているから

それを晴らすためには

夜よりも暗い血を浴びる事や

闇よりも深い眠りにつくことしか出来なかった

アタシがアタシでなくなった時

恐らく姉貴はアタシを止めることが出来ないだろう

姉貴はアタシと同じ夜兎とは思えないくらいに優しいから

もしその時が訪れてしまったら

銀髪でちゃらんぽらんな男な男だけど

仕事よりも遊んでる時の方が生き生きしてるような奴だけど

銀時

アンタがアタシを止めてよね

殺してでもいいから






「あぁ、分かった」

待ち望んだ答えにほっと胸を撫で下ろしたが、

「なんて、言やあ満足か?」

その男は安堵をただではくれなかった

「誰がお前を汚したって?神楽よりもガキのお前が何言ってやがる」

月も隠れていたはずの夜。いつの間にか、月は雲から顔を覗かせて、男の強く光る銀色を照らしていた

「姉貴を想うお前の心は誰が何と言おうと、綺麗じゃねぇか。暴れたら殺してでも止めてくれだ?そんなのお断りだ」

男はいつもからは想像出来ない目の力を放ち、言った

「お前が死んだら、誰が悲しむと思ってやがる」

あれを泣かすような真似も、せっかくの新しい従業員も

手離す気はない

男は月光の中、全てを内明かしたアタシに最も欲しかった言葉をくれた

アタシはここで

江戸で、姉貴の傍で生きていていいのだと

そう気付かせてくれた





END


吐き出すような告白は



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