ちらちらと空から舞い落ちる雪を眺めながら一つ白い吐息を吐き出す。
綺麗だとか幻想的だとか、ぶっちゃけ寒くてそんな感想は一つも出てこなかった。
(寒っ・・・・。)
カタカタと震える体を擦りながらマフラーを持って来るんだったと今更ながら後悔してしまう。
しかも雪を見に行こうとこのクソ寒い中わざわざ屋上に連れ出した張本人は屋上に着くなりただ黙って雪を眺めているだけで、俺としては面白くない。
言っておくが、土御門にかまってもらえないからだとか一人放置されて寂しいからでは断じてないと声を大にして言っておこう。
(つか、ただ見るだけなら教室でも良いじゃねぇか。)
そう言ってしまいたいが、空を見上げる土御門の顔があまりにも真剣でどこか思いつめていたから茶化すことも不満を言うことも俺には出来なかった。
また何か俺の知らないところで厄介な問題を抱えているのだろう。まぁ、素人の俺には一言も相談などしないし頼ってくることもないんだろうが・・・
そう思うと何だか無性に寂しくて、俺は隣で空を眺める土御門の背中に抱きついた。
「どーしたカミやん。」
「・・・別に、どうもしてねぇよ。」
「そっか。てっきり俺はかまってもらえないのが寂しかったのかと思ったぜい。」
「んなっ!」
「おやおや、図星だったかにゃー?」
にやにやと笑う土御門に腹は立ったが、抱きついた背中から離れることはしなかった。
寒いから早く教室に帰ろう、そう言って俺は冷たくなった土御門の手を取った。
「何だか今日のカミやんは甘えたさんだにゃー。」
「勝手に言ってろバーカ。」
END。