夢小説
□愛か鬼か…
1ページ/22ページ
「……………」
「……………」
「……………で、何なんですかぃ?この集まりは」
ここは真選組屯所。
突然、広間に集まれとの命を受け、局長の近藤、副長の土方を始め、一番隊から十番隊の隊長格がズラッと並んでいる。
なぜか難しい顔をした近藤と苛々して煙草をスパスパと吸っている土方を見て、何で集められたかわからない隊長格達に代わり、一番隊隊長こと沖田総悟が重苦しい空気を打破した。
「……トシ…ずっとこのままではなぜ集合を掛けたかわからん。もう隊士達に話したら…「近藤さん‼」
土方の顔色を伺いながら話す近藤に睨みを利かし、話を遮った土方に皆が何事かと目を丸くしたが、沖田だけはそれに顔を顰めた。
「……土方さん。何なんですかぃ?用がないなら俺は隊務に戻りやすぜ…「総悟ーー!!!座ってろぉぉーー!!!」
「……………」
そう言って、立ち上がろうとしたが、またしても話を遮る土方に全くわけがわからないという顔をしている隊士達だが、沖田はいつも通りポーカーフェースでめんどくさそうにまたその場に座った。
そんな重苦しい空気を再び打破したのは、真選組監察方の山崎だ。
「失礼します…」
「なんだ、山崎……今は重要会議中だ。くだらねぇ事だったら斬るぞ」
会議中……
一言も話さないのがもはや会議などと呼べるのか。
しかし、土方のあまりの気迫に山崎を始め、隊士達は青ざめる。
「すすすすすすすいませんっ‼しかし、屯所の表門に女の方が見えていて、その方が局長と副長を呼んでいまして…「なにぃ?!」
「ひぃぃぃぃい!!!」
物凄い勢いで目がクワァっと見開き睨まれ、悲鳴をあげた山崎を土方は押し退け、表門へとドスドスと足を鳴らし去って行った。
「ト、トシーー!!!ま、待ってーー!!!」
土方の後を近藤が慌てて追いかけて行くのを唖然と見つめ、静まり返った広間で隊士達が互いに顔を見合わせ首を傾げる。
「……なんなんでぃ、いったい。山崎、誰が来たんだ?」
「それが、ものすっっっっっっごい美人な方なんですよ!!!俺もびっくりしちゃって声が出なかったくらいで…」
頬を紅くさせて、どこか遠い目をする山崎を見て「気持ち悪りぃ」と思ったが、すぐに好奇心が押し寄せた。
「……さぁ〜どんくらい別嬪さんなのか見てきやすかねぃ」