夢小説

□愛か鬼か…
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ドスドスとこちらに近づいてくる足音に目を向ければ、懐かしい顔が見えた。

「ハァ…ハァ…椿」

少し息を切らしている土方を見てクスリと笑う。

『お久しぶりでございます…』

丁寧に頭を下げる様はとても美しく気品がある。
その姿を見て満足感と久々の再会に安堵の溜め息をついた。

「ト、トシ…!!!早すぎだか…ら…って、え?もしかして椿ちゃん?」

少し遅れてやってきた近藤は椿の姿を見て驚きの表情を隠せない。

『ふふふ…はい、椿です。お久しぶりでございますね、近藤さん』

優しく微笑んだ椿を見て、嬉しいあまりに抱きつこうとしたが、背後からの凄まじい殺気にその手を引っ込めた。

「はは…なんちゃって〜」

「……懸命な判断だったと思うぜ、近藤さん」

口元を引き攣らせながら空笑いをしている近藤を見て、刀に触れていた手を離した。

『相変わらずですね……』

「長旅で疲れただろ。入れ…それと連れも一緒にな」

チラリと背後へと目配せをされ、目を閉じ敵わないという様に小さく笑った。

『はい……じゃ、皆の者…入りなさい』

「御意……」

低く静かな声がしたかと思えば、今までいなかった椿のすぐ後ろに瞬時に現れた男四人。

一人を除いて、他は皆目だけを出した黒装族の出立をしていた。

椿のすぐ後ろに立つ一人だけ袴姿の男と目が合う。

「チッ…行くぞ」

『…………はい』

自分のすぐ後ろにいる男を横目でチラリと見やり、不機嫌そうにすたすたと歩いて行く土方の後を静かに着いて行く。



へぇ〜あれが山崎が言ってた女ですねぃ……にしても、あの女とあの気味悪りぃ男達は何なんですかねぃ



物陰から土方と近藤と椿のやり取りを見ていた沖田は広間へと先回りした。
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