夢小説

□なんで君を愛してしまったんだろう…2
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「やぁ!!!やぁ!!!」

「脇が甘いっ!!!もっと締めろ‼それに踏み出しも少し遅いぞっ‼」

「はいっ!!!」

道場に小さなたくましい声と、それを厳しく指導をする声が響く。
その声を聞いた近藤が道場を覗くと空と土方の姿があった。

「やぁ!!!とぁーーー!!!」

「……よし。今日はここまで‼」

「ありがとうございました!!!」

小さな肩で息を浅く上下して勢いよく頭を下げる空に手縫いを差し出した。

「よくやった。今日の教えを忘れずに、午後の鍛錬も怠るなよ?」

「はい!!!……あ、近藤さん!!!」

手縫いで汗を拭うと道場の入り口に立つ近藤と目が合った。

「おぉ〜空にトシ、お疲れ‼」

二人に歩み寄り、空の頭をガシガシ撫でる。

「空、お前腕が上がったな?!」

「本当?!聞いた?!父上‼近藤さんが上達したって!!!」

近藤に褒められたのがよほど嬉しかったのか、興奮気味で話す空の頭をポンポンと軽く叩いて道場から出るように促す。

「あぁ…空、風呂入ってこい」

「はい…」

「……………」

少し寂しそうに道場を出て行く空の小さな背中を近藤は苦し気に見つめる。

「……トシ、空は大きくなったな〜もう何歳だ?」

「…10歳になるな」

「…………なぁ、トシ。空をなぜ褒めてやらん?父親に褒められるのが何よりも嬉しいと思うぞ?」

「………空には…刀を握るってことがどんなことなのかまだわかってない。あいつが今握ってるのは竹刀だ。竹刀と刀は違う…」

「…………トシ」

竹刀で人が死ぬ危険はまずそうそう無い。
だが、刀を握ればそれは容易く人の命を奪ってしまう。
命を奪うだけでなく、その家族の幸せさえ奪ってしまう。

椿の家族がそうであったように…

自分も今まで何人もの命を奪ってきた。
その一人一人を覚えていられるほどこの仕事は甘くない。
………が、その家族に仇討ちだと狙われたり、恨まれたり、泣かれたりしたことは忘れられないものだ。



強くなるということはそれ以上に責任が重くなる。
人の命を…人生を背負って生きることの重さをまだ空はわからない。
だから…安易に褒めてやることはできねぇ。



「……トシ、お前は良い父親だな」

バシッと背中を叩かれ、半歩前につんのめる。

「なんだよ、急に…」

「いや〜椿ちゃんが空くんを妊娠した時のことを思い出してな」

「………あぁ」



椿が空を身篭ったと聞いた時はすごく驚いた……
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