黒子のバスケ
□気づいてよ
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「ひゅーがぁー」
「んー?」
「暇ぁ」
「んー……」
「ひゅーがぁぁぁぁ!」
「だあぁ!?」
休日に人を呼びつけた当の本人はさっきから武将フィギュアと向かい合っていて、放ったらかしにされてる俺は面白くなくて背中を思いっきり蹴ってみた。
「このダァホ!いきなり何すんだっ‼」
折っちまうとこだったろーが、と叫んでるけどそんなの知ったこっちゃない。
「俺を呼んだの日向なんだけど」
「あ、あぁ……そ、うだったな……」
「暇なんだけど」
「……」
「ねぇ、日向?」
ごろごろとベッドに転がりながらその背中に問う。
「……俺とそいつらと、どっちが大事なの?」
「……ンなもん、こいつらに決まっt(バフっ)」
「日向の馬鹿っ!もう知らない」
抱えていた枕を力任せに投げつけて背中を向ける。
自分でも信じられないけれど、涙が零れる。
「嘘だって!もちろん伊月に決まってるだろーが!?」
「……」
はぁ、とため息をつき、こちらに近づいてくる気配がした。
「いーづーきー?」
「……」
「悪かったって。冗談に決まってるだろ?」
「……」
「だからさ、機嫌直せよ……俊」
いつもより低い声音が耳をくすぐる。
日向はズルい。いつもそうやって俺の心を溶かしていくんだ。
「……ダジャレ」
「あ?」
「明日1日ダジャレしりとり付き合ってくれたら許す」
「……嫌だっていったら?」
「1カ月接触禁止」
「……ったく……わぁーったよ!付き合ってやるから、機嫌直せって」
「……言っとくけど、悪いのは順平だからね?」
「お前、しつけーよ」
ぐしゃぐしゃ、と髪の毛をかき混ぜられて布団を引っ張られる。
「……とりあえずさ、俺も眠ぃからそっち行っていい?」
どくん、と音を立てた心臓に気づかれないように壁際に身を寄せる。
「……こっち来いよ」
「ぅわっ」
急に腕を引っ張られ、気づけば胸の中に抱き込まれる。
余りの速さに思考がついていかない。ほら、と腕まで出されてほぼ強引に腕枕をされた。
「ちょ、日向っ」
「ん?寂しかったんじゃねーの?」
「……だからってこんなの……見られたら…」
「今日明日はみんなばぁちゃんちに行ってるから誰も居ねーよ」
「……でも」
「いいから黙ってされてろ」
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