世界一初恋
□愛のカタチ
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「疲れた・・・」
今日もデッド入稿を終え、疲れ切った俺は吉野が来ているであろう家に帰った。
ガチャ…
「あ、トリ!お帰り〜」
…何でコイツはこんなに元気なんだ?俺はお前のせいでこんなに疲れ切ってるというのに。
修羅場中は「トリ〜!俺もうムリ……」とか言ってたくせに。
原稿書きあげた途端元気になりやがって(怒)
ムカつく。
「トリ〜?どうかした?」
「…いや、別に。」
「ふぅ〜ん?」
俺の怒りに気付いてか気付かずか、吉野は手にしたビールを一気に煽った。
「くぅ〜!やっぱ仕事終わりの一杯は最高だな〜!」
まったく…
お前がそれを言うか?
「晩飯は食ったのか?」
「うん」
…え?
「…食ったって俺おかずのストック作ってなかったはずだが?それにお前、栄養食品も切らしてたんじゃないのか?」
「…」
「吉野?」
「……っ…作ったんだよ」
「は?」
「だからっ!自分で作ったんだよっ!…トリ、疲れてるだろうって思って、それで…」
…開いた口が塞がらないとはきっとこういう事を言うんだろう。
テーブルの上には確かにご飯と味噌汁と魚と、その隣には…炒め物か?が並んでいた。
吉野を見るとひとり茹蛸みたいになっている。
ヤバい。嬉しすぎる。
「そんなとこに突っ立ってないでさっさと食べろよ!この吉川千春大先生がお前の為に作ったんだからなっ///!」
クシャリ
「おわっ!?…何すんだよっ!」
髪に手をやっただけでさらに顔を赤くする。
『…晩飯よりもお前を食いたいんだけど』
耳元で囁いてみた。
「っ〜///!!!トリの馬鹿っ!もう知らないっ」
そっぽをむかれてしまった。
拗ねても可愛いだけなんだが…
取り敢えず、吉野が俺のために作ってくれた晩飯をいただくとするか。
よし…千秋を食べるのはその後だ。
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