小説

□プリンは…
1ページ/2ページ

今、私の前にはプリンが二つある
正確には、プリンのからと未開封のプリンだけど…
そして、そのプリンをめぐって
私の幼馴染みとクラスメートが喧嘩をしている
もう、帰りたい…








ことの始まりは数分前―――――――――

「さて、プリン食べよ」

そう、私こと、百夜《ももや》 桜《さく》は
昨日かってきたプリンを食べようとしていた

「あ、いいなそれ、俺にもちょーだいっ!」

そこに外見は申し分ないほどイケメンなのに
ちょっとガキっぽいのが玉にキズな幼馴染みの、黒銀 潤《 くろがね じゅん》がやってきた

「え、なんでここにいるの?」

「え、遊びに行くって言ったじゃん」

そんな事言ってたけ?

「いつ?」

「昨日ぐらいに」

「マジで?」

「マジで、それより、そのプリン俺にもくれよ」

「分かった、ちょっと待ってて」

確か冷蔵庫にまだ残ってたはず…

「はい、持ってきたよ」

「おぉ、サンキュー桜っ!俺めっちゃプリン食いたかったんだよ!!」

「どういたしまして」

プリン一つでここまで喜ぶとは……
うん、やっぱガキっぽい
特大プリンとかあげたらどうなるんだろう?
ちょっと見てみたいかも

「どうかしたか?」

「いや、なんでもないよ」

「そうか、なら良いや、んじゃ、いただきま――ゴンッ!」

「このバカ!なんでお前ここにいんだよ!!」

これまたイケメンな我が幼馴染み様、美咲《みさき》 藍都《あいと》は
怒りながらやってきた
というか、なにげにすごい音したよ
潤、大丈夫かな

「おい、桜」

「へ、あ、はい、何でしょうか?」

「何でしょうかじゃねぇよ、なんでこいつがここにいんだよ!」

「あぁ、何か昨日約束してたみたいです」

「何かって何だ」

「いやー、昨日の記憶が曖昧なんですよね」

「そうか、それでお前は俺との約束を忘れてこんな奴と家で楽しくおしゃべりってか」

「え、藍都と約束なんかしてたっけ?」

「勉強教えろって言ってきたのは誰だ!ついでにプリンは俺のだ!!」

「あ、そうだ、そんなこといってたね」

「おま――「な〜俺の事、無い存在にしないでくれる?」

「なんだ、生きてたのか」

「俺は死なない!プリンを食べてるまで、ついでに桜に好きだと伝えるまでっ!」

好きだと伝えるまでって、たった今伝わったよね
気付いてない?
つか、ついでに?!
なにげに酷くない…

「桜、あのバカの言うことなんぞ気にするな」

「気にするよ……」

「何を気にするんだ?」

「ほんとバカだなお前」

「ば、ばかって……お、お前だって桜の事好きなくせにっ!」

「え、マジでっ!」

「テメェ…余計な事言いやがって!!!!」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ