一次元空間(小説)

□本当は。
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「土方さん。」

「…なんだよ。」


「……いいや、何でもありやせん。」


「チッ…なら話し掛けんな。」


今日の土方さんは機嫌が悪い。

こんな日は一緒にいたくないものだが、なんでかねぇ、結局一緒に見回りに行く羽目になっちまった。

大方上の人間の意見が気に入らねぇんだろうが、こっちにまでとばっちりを食らうと嫌になる。


「オイ総悟。煙草買ってこいよ。」

「嫌です。近くに煙草売ってる所なんかありやせんぜ」


いつの間にかパトカーは人気のない場所まで来ていた。


「…俺が買ってこいっつってんだから買ってこいよ。」

「土方さん。いくら機嫌が悪いからって八つ当たりは見苦しいですぜ?」

「うっせーよ!テメェに何が分かるってんだ!」


助手席ごと押し倒される。

機嫌の悪い日に喧嘩するといつもこうだ、無理矢理乱暴にされる。
分かってたのに、余計挑発するような真似をしてしまった。


「分かってんだろうな…?」


制服のスカーフで腕を縛られ、身動きが取れない。

「…後でぶっ殺す」

「そんな口聞いたって余計痛くするだけだぞ」


もう駄目だ。今日の土方さんには逆らえない。


「女みてェに白い肌しやがって…」

剥がすように服を脱がされる。

「…なんだよその目は。」

どうやら無意識に反抗的な目をしてしまったらしい。
噛み付くようにキスをされる。


…煙草の味が苦い。


「……んッ…」

「…めちゃくちゃにしてやる……」


首筋に痛いほどの跡をつけられ、その舌はどんどん俺の体をなぞってゆく。

「ふぁぁッ…!!」

腕を縛られてるからか、舌の感触をモロに感じて思わず声が出てしまう。

…人が通ったらバレる…。


舌が胸まで到達すると、突起部分をいきなり噛まれた。

「痛ッ…!」

「総悟…テメェは結局俺には逆らえないんだよ」

「ッ…やめ…ろ……変態…」

「…その生意気な口が二度と聞けねぇように調教してやる。」


今度はもっと強く噛まれる。
痛いハズなのに、体は反応している自分が憎い。




「入れるぞ。」


まだ完全には準備できていない入り口を無理にこじあけられる。

「嫌ッ…いた……!!」


土方さんは動きを止めてくれない。
最初から激し過ぎて、車の中じゃ自分はうまく動けなくて、思わず涙が出てくる。

「あ…いやッ……んッ!!」

「もっと泣けよ…総悟…」

「やぁぁ…」


もう痛いのか気持ちいいのか分からない。
土方さんはいつも、こんな風にしか俺を抱いてくれない。


「…嫌だ……んぁッ…ァ…」


「…そんなに俺が嫌か?」



土方さんが瞳孔の開いた目で睨み付ける。

違う。そうじゃない。


「あ…ぅッ……!」

「嫌か…」



違う。
抱かれるのが嫌なんじゃなくて…

土方さんが嫌なんじゃなくて…



「ちが……ちがう…ッ!」

「そうか…なら続ける……」


さっきよりも激しく突かれて、めちゃくちゃにされる。
頭がぼうっとしてきた…。


「んッ…!」


本当は分かってるんだ。
土方さんは嫌がらせで俺を抱いてるワケじゃない。


「…くッ……ぅ…」


力の加減が分からない人だから…
ほんとは優しい人だって知ってるから…


そして、それを分かってあげられるのはきっと俺だけだから。




「…ひッ、ひじかた、さん……ッ」

「………どうした、総悟…」


「……あッ…ん……」

「…何だよ。言えよ……」





「ッ…………好きでさァ…。」



「…………あぁ…」










あれから二人で眠ってしまった。
もう日が暮れかけている。早く戻らないと真選組のみんなに怪しまれそうだ。


「土方さん…起きてくだせェ……土方さん」


土方さんは気持ちよさそうに眠っている。すぐに起きる気配はなさそうだ。


「…ったく、あんなに動くから……アレ?」


腕を縛っていたスカーフは、土方さんの手元に収まっていた。

外しておいて…くれたんだ。



「…俺を自由にした状態で寝るなんて、ちょっと頭が悪過ぎるんじゃないですかィ、土方さん。」


土方さんの額にマジックで『肉』と落書きして、もう一眠りする事にした。




END

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