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□07・見つけられた光
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『ナツパパー!ナツと葵ちゃんいる?』
父「うん中にいるよ。棗ー葵ー!!」
棗「なんだよ。でかいこえでよぶなよ」
葵「明莉ちゃんまたきてくれたの?
やった!きょーはなにしてあそぶ?」
『きょーは…かくれんぼ!』
これはいつの話だろう?
ナツ?葵って誰?
『じゃあいくよー!さーいしょはグーじゃんけんポン!』
葵「あっ、お兄ちゃんのまけー!ちゃんと10かぞえてね!!」
棗「わかってるよ…」
そうだ…これは確か、5歳の時だ
私はアリスを持ってることでお母さんが人とは
関わらせないようにしていたから友達がいなかったんだ
けれど、隣に引っ越してきたのは家族全員アリスを持っているという日向家
お母さんもアリスを持っている事だったら…ということで遊ばせてくれた
そこの子供たちは私と同じぐらいの年ですぐに仲良くなった
その毎日がとても楽しかった
私の初めての友達だった
棗「明莉みつけた…」
『ナツみつけるのはやいよ−!』
棗「明莉はみつけやすいところにいるんだよ」
『あのね、ナツ!わたしナツがだいすきだよ!!』
棗「しってる」
『ナツは?』
棗「おれもだいすきだよ」
『ほんと!?』
葵「あー!ずるーい!!葵ぬきであそんでるー」
『葵ちゃんでてきたらかくれんぼじゃないじゃん!』
葵「だってお兄ちゃんがみつけるのおそいんだもん!!」
『あはは…━━』
そのあとすぐに棗君たちは引っ越してしまったんだ
アリスが見つかってしまったから…
なんで私はこんなことを忘れてたんだろう?
こんなにも大切な思い出…
子供ながらに言ったあの大好きという言葉
私の言葉にウソはなかった
棗君は分からなかったけど
あれが小さい私の精いっぱいの好きの気持ち
棗君…棗…ナツ……
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